ハーデース


 ギリシア語で「見えざる」という意味の言葉で、神話などでは冥界の神の名を表し、後世で語られた様な地獄の名称ではない。
 モビル・スーツのハーデースは、普段はハデスと略されて呼ばれる。
 このモビル・スーツも、二十年前のマフティーの反乱の時に使用された連邦軍の量産機であるグスタフ・カールをモデルにしたものである。
 ハーデースは月のアナハイム・エレクトロニクスのグラナダ工場で、フォン・ブラウン工場のシルエット・フォーミュラ・プロジェクトに対抗する為に造られた試作モビル・スーツで、ソロモンでの最終試験が行われた後に連邦軍の次期主力として提出する予定であったが、フロンティア・サイド襲撃の報を聞いて、増援艦隊と一緒にフロンティアUへと送られた。
 パイロットにクルス・キースルー大尉を最初から予定していた為に、内蔵されているサイコミュもクルス大尉のあわされており、その基本性能の高さをフロンティアU救援のときに遺憾無く発揮した。
 装備はファンネルを六機装備している以外は他のモビル・スーツと変わらず、ビームライフルとビームサーベルだけだ。
 ハーデースの最大の特徴は、モビル・スーツと同等くらいの大きさのシールドである。それには核融合炉が装備されており、Iフィールド・バリア発生器となっている。実弾対策に表面に薄いビーム・バリアを張る事が出できるが、Iフィールドとどちらか一方しか使えない為に、扱いは難しかった。また、それ自体がサイコミュ受信機として、ファンネルの様に遠隔操作が可能で、先端にビームガンの銃口も取り付けられている。
 基本性能が非常に高く、その強さは折り紙付きだが、生産効率の悪さと扱いにくさが目立つ為に、サナリィのF91に大敗したのも当然の結果であった。
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