エピローグ


ブレイジング隊の全員が艦内放送に耳を傾けていた。
「気づいて、そして知っていた者が少数居ると思うが、私、グライス・カロニアは偽名であり、本名はジング・シグマである。・・・これに対し、怒り震える者が居るのは当然だ。及ばずながら、謝りたく思う。これを聞いていると言う事は、私はもう、死んでいる。・・・グローバー、君には迷惑を掛けた。ノレム艦長の住所は、ミニンから聞くといい。この出来事をノレム艦長に言うのだ。いいな?・・・セイル君、君のおかげで、心の決心がついた。ありがとう。・・・ランド君。君の思ったこと、思うこと、それは世界の人間に言わなければならない。時間は掛かるが頑張ってくれたまえ。・・・そして、隊員の諸君。未来への希望は捨てずに、過去に囚われず、生きてくれ。これは、私の望みだ。」
グライスが自爆する直前にモロキに送った伝言内容を流していた。グライスの思いとは裏腹に、怒りに震える者は居なかった。ほとんどが涙を流し、敬礼をしている。

「本当に、軍を辞めるのか?このまま居れば、大将クラスになれたってのに。」
モロキが呆れた口調で言う。
「あぁ、辞めるのなら、この状況、軍内部が混乱した時が一番だと思ってな。それに俺だけじゃない。親父とお袋、それとメイスもな。お前は残るんだろ?」
セイルが言う。
「まぁな。・・はぁ〜・・・。ギア一家は皆、辞めてく訳ね。ま!メイスちゃんと仲良くな。」
モロキの目からは、うっすらと涙が浮かぶ。
「今まで、ありがとう。モロキ。また会えたら言いいな。」
セイルとモロキは握手をする。
「また、会うさ。かならずな。」

「では、ランド、アルミー、ジョーニアス、ヨンル、ローレンス、マリマ・・・7名は、軍の志願を撤回するのだな?」
グローバーがランド達に訊く。
「はい。僕たちは、アクアセツルメントに帰ります。今まで、お世話になりました。」
ランドがお辞儀をすると、アルミー達もお辞儀をする。
「なに、私も軍を辞める身。お辞儀されてもな。それと、ランド。Eガンダムを持っていきなさい。」
グローバーが言う。
「いいんですか!?」
ランドが仰天する。
「あぁ。いい。そもそも、本来はシグマの使うはずだった機体。記録は抹消されている。今後必要だろう?」
すると、ランドは首を縦に振った。
「ありがとうございます!!」

宇宙世紀0261・・・。ブレイジング隊は解体され、軍に残る者と、辞めるものが多数表れた。残ったものは軍の復旧作業に、辞めた者は、それぞれの人生を歩み始めた。
メイスを含めたギア一家は、レストラン・ブレイジングを開店。
そして、後にセイルとメイスの夫妻の間には2人の子供に恵まれる。
モロキは、戦いの経歴を認められ、地位が高くはなって行くが指揮官ではなく、MSパイロットで居ることにこだわっていた。

一方、ローレンスとマリマは本格的な医療の世界に身を投じ、ヨンルとジョーニアスはジャンク屋を営んでいる。

そして、ランドとアルミーはシステムから教わった事を全人類に伝える為、今も何処かで、努力をしているのだろう。
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