最終話 「Only One Earth」


ランドは目を開ける。今までの出来事を振り返った。
慌てて、モニターを見る。システムとは長い時間シンクロしていた。状況が変わっているに違いない。
「えっ・・・?」
ランドが絶句する。
グライスの01が爆発していたのだ。
つまり、時間は1秒しか経っていなかったのだ。
「・・・グライス大佐も死んで・・・アーサーも死んだ。・・・終わったんだね。」
ランドが後ろのアルミーに言う。
すると、アルミーは嬉泣きをしていた。手で自分の涙を拭き取っていた。
だが、ここで1つ疑問が浮かぶ。
(たしか、システムは、まだ根元があると言っていた・・・。根元って・・まさか!!)
ランドはレーダーに目を通す。すると、1つだけ反応がある。
グライスの01では、無い。
アーサーのギガントスだと、ランドは確信した。
その直後、煙の中から半破したギガントスが出てきた。機体を見ると、至る所がショートしている用だ。
「ハハ・・・!ハハハ!!!馬鹿な奴!この程度で、僕が死ぬかよ!!ジング・シグマは死んだ!!死んだんだ!!ハハハハ!!!」
アーサーが狂ったように叫ぶ。
アルミーは驚きを隠せない様子で、両手を口の前に置く。
ランドも、驚いてはいるが、いたって冷静だ。
すると、アーサーの視界にEガンダムの姿が入る。
「次は、お前だ!EVOLVE!!死ねよぉぉ!」
ギガントスが、まだ使えるバーニアをふかし、向かってくる。
「人類を進化させるんだ!!・・・地球を・・全てを破壊すればぁぁ!!」
ギガントスは、両腕の130mmビームマシンガンを乱射する。
「くっ!こんな奴が。人類の進化なんかまだ早い!」
ランドはその発言に怒りなからも回避し、後退する。
『システムロック解除。ステルス、発動。』
ランドの脳裏にその言葉が走る。
今回は、2回目なのでシステムが言っているのは分かった。
「EVOLVE!!出力は全開で頼む!!これで、終わらせるから。」
ランドは言うと、スロットルを前に倒す。
ステルスの発動である。EVOLVEは徐々にスピードを上げ、遂に、光の帯の状態になった。
そのスピードの為、パイロットにはかなりの負担が掛かる。ランドは2回目と言う事もあってか、あまり苦痛にはならなかった。それに比べ、アルミーは一溜まりも無い。悲鳴を上げそうになるが、我慢した。
ランドは口を開く。
「聞け!アーサー・ゲイル!!」
アーサーは、130mmビームマシンガンを乱射する。しかし、当たるハズが無い。
返事が無いので、ランドは喋る事にした。
「僕たち、人間1人ひとりは!地球と言う、大きな生態系を守り、次の世代に引き継ぐ責任がある!スペースノイドを主張しようとも、地球が終わっては、何も出来ない!科学技術は・・・人間の手によって、自然を征服し、改造し、破壊するためにあるんじゃない!!人間の力は、自然と調和させながら、誰もが、いつまでも、安心して生活できるような環境を維持するために用いらなければならない!!戦争なんかで、それが解決する訳が無い!!自然の流れに沿っていけば、何時かは!必ず、結果に出る!だから、次の世代を信じる事が出来る!次の世代を、未来を信じようとしない奴なんか、居なくなれぇぇぇ!!」
ランドがステルスが発動した状態で、サーベルを抜きギガントスを徐々に破壊して行く。
「馬鹿な・・・!!この僕が・・・あぁっ!!」
「ラスト!!」
EVOLVEのサーベルは、ギガントスのコックピット部分を貫く。そして、ギガントスは爆発した。

一方もバラスートUはメガ粒子砲のENのチャージが終了した。
「チャージ終了。艦長!」
ロムが叫ぶ。
「よし。メインメガ粒子砲!目標、敵艦隊。てぇぇぇぇ!!!」

激しい閃光は、シグマ帝国の艦隊を殲滅させた。
モノアイの光が今にも消えそうなEVOLVEがギガントスの残骸と漆黒の宇宙を漂っていた。
どうやら、EVOLVEのENは底をついているようだ。
「アルミー。・・今、グローバー艦長に連絡した、もう少しだからね。」
ランドがアルミーに言う。
アルミーは気絶していた。ステルスのパイロットに掛かる負担に耐え切れなかったのだろう。
(EVOLVE・・・。ありがとう。僕の役目は、これからなんだね。まだ、自然と調和する事を知ってもらうためには、時間が必要なんだよね。)

宇宙世0260、11月14日。この戦争は、議会軍の勝利に終わり、シグマを名乗る者は、この世から消えた・・・。
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