第二話 「混沌の迷い」


〜ブリッジ〜
寝起きのモロキは、ライグランズのブリッジに入った。
目の前には、オペレーターのカナンが居た。
「あ!おはようございます。モロキ大佐。」
カナンが笑いながら敬礼をする。
「あぁ・・。おはよう。」
モロキは、辺りを見回す。
操舵手、CIC、皆忙しそうだった。
「よく、眠れたかね?モロキ大佐?」
続いて訊いてきたのは、フォーランだ。
モロキは、先日の戦闘にてフォーランの異変とのギャップに成れず、少し戸惑っている。
「は・・はい。」
モロキは何とか、返事をする。
「艦長、次の行き先は・・・?」
モロキがファーランに訊く。
「そのことについては、後でブリーフィングルームで知らせます。今は、ゆっくり休んでください。」
モロキは、渋々ブリッジを後にする。
すると、カナンが後を追ってきた。
「モロキ大佐!」
カナンがモロキを呼ぶ。
モロキは後ろを向く。
「最初は、慣れないかもしれませんが、直ぐに慣れますよ。」
「あぁ、フォーラン艦長の事か。」
モロキは、笑いながら答える。
「あっ!・・あと、ブリーフィングの時間は、14:00ですからね。」

そして、14:00。ブリーフィングが始まった。
フォーランがディスプレイに映し出されている映像を見ながら今度の作戦の説明をしている。
「現在、L3ポイントでフェダールの艦隊と、議会軍の艦隊が、ややフェダールが優先的に戦っている。そこで今度の作戦は、押されている議会軍の艦隊の援護を目的とした作戦である。現在、我々は急いでL3へ向かってはいるが、少しでも早急に着くためにMSの発進を優先させる。そこでだ、何機かのMS発進を先発させたい。名を呼ばれたものは、直ぐに格納庫へ行ってくれたまえ。」
フォーランが紙を受け取る。
「モロキ・グレン大佐、レイル・ヤムン少尉、シャドウ・ネィム少尉・・・以下の3名を先発させる。」
モロキが立ち上がる。
「3名・・・だけですか?」
モロキが訊く。
確かに、先発させるのなら、3名とは少ない。
最低でも、5名以上は必要である。
「そうだ。3名だけだ、君等の実力を見た結果だ。反論は許さんぞ・・・。」
フォーランは既に変わっていた。モロキはその異変を確認すると、ブリーフィングルームを出て格納庫へと向かう。
(俺と、レイル少尉と・・・あのシャドウ少尉か・・・。)

〜格納庫〜
モロキは、スパイルの主電源を入れる、そして、発進用カタパルトに向かう。
隣には、レイルの乗るフォートムのカスタム機が居る。
「君がレイル少尉か。よろしくな。」
モロキが通信をする。レイルは回線を開く。
「はい。足手まといにならないよう、心がけます。モロキ大佐。」

レイル・ヤムン少尉
16歳。女性と言えどディスターブ隊でも、かなりの実力の持ち主。その為、自分の機体はフォートムのカスタム機となっている。

「グレン隊長、始めまして・・・。シャドウ・ネィム少尉です。これから、よろしくお願いします・・・。」
モロキとレイルのやり取りにシャドウの通信が割り込んできた。
「あぁ、よろしくな。それとモロキで良いよ、シャドウ少尉。」

シャドウ・ネィム少尉
15歳。外見から近寄りがたい感じの少年。過去のデータなど年齢以外が一切無い。それが何故かは分からないが、フォーラム艦長がそれに関わっていると言う噂がある。

スパイルがカタパルトに足を接続する。
作業員が出撃OKの合図を出す。
「モロキ・グレン、スパイル!出るぞ!!」

そして、L3のポイントまで、残り5分の所まで来た。
通信は、ミノフスキー粒子が濃い為、議会軍艦隊との通信が取れずにいた。

「シャドウ少尉、レイル少尉、フルブーストで行くぞ!いいな!!」
モロキが叫ぶと、スロットルを倒す。
それに続くレイル機とディストレス。
「!!隊長、前方で、大量のミノフスキー粒子を確認!!」
ミノフスキー粒子が薄くなったため、確認が取れるようになった。
「何!?、まさか!メガドライブエンジン!!」
「先に行きます!!!」
シャドウが叫ぶ。すると、目にも止まらぬ速さで行ってしまった。
それを見て、モロキは確信した。
「やはり・・・あれは、ステルス機能。議会軍め・・・、未だにあの機能を・・・!!」
モロキの呟きに疑問を感じるレイル。
その時、シャドウからの通信が再び入った。
「こちら、シャドウ・ネィム。駄目です・・・議会軍の艦隊は全滅です。無駄足を食わされました・・・。」

〜ライグランズ〜
一方、そのころライグランズに通信が入っていた。
「艦長、セツルメント国家のズシャン少将から通信です。」
カナンが答える。
「ズシャンから?月基地に居るのか?どうした?」
カナンが回線を開く。
「おぉ!フォーランか、こちらは今、フェダールの攻撃を受けているのだ!救援を問う!」
「何?どう言う事だ!!」
フォーランが怒声を上げる。
月基地と言えば、かなりの戦力が導入されていてフェダールは攻めて来ないと予想されていた基地でもあった。
それと同時に、モロキからの通信が届く。それには、カナンが対応した。
「どうしました?」
カナンが訊く。
「残念な結果だ・・・、議会軍艦隊は全滅だ。1足遅かったみたいだ。」
「了解しました・・・。直ぐに帰艦して下さい。ただ今、月基地がフェダールの攻撃を受けてるみたいなのです。」
カナンは冷静に答える。まるで、その結果を予想していたみたいに。
「月基地が!?」
レイルが割り込む。驚くのも無理は無い。
「とにかく、急ぎましょう・・・。」
シャドウが言う。
「あぁ・・、そうだな。」
モロキはシャドウから言われるなんて思っても見なかった。
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