第三話 「謎の撤退」


〜月基地〜
「ポイント205の旗艦グーンズヴァイ撃沈を確認!!」
「MS部隊!右舷の迎撃を頼む!」
「左舷主砲大破!!」
「大尉・・・大尉!!」
セツルメント統合軍と議会軍の艦隊は次々とフェダールの艦隊がやられて行く。

〜旗艦 ローウェンス〜
ズシャン少将の旗艦ローウェンスも序所に被弾箇所が増えていた。
「右舷の対空ビーム砲、1番と4番破壊させました!」
オペレーターが叫ぶ。
「ぐぐ・・・、MSは!MSは何をしているのだ!!」
ズシャンがオペレーターに訊き返す。
「以前、敵MS隊と交戦中!」
「直ちに後退させろ!そして旗艦の援護を要請しろ!」
オペレーターの答えを聞くと、ズシャンは立ち上がり、命令をする。
額からは大量の汗が出ていた。
「しかし!それでは、敵艦が・・・!!」
操舵手がズシャンの方を向き、反論する。
「黙れ!!このまま、死にたいか!!」
ズシャンが怒鳴る。
「!!、急速接近する機体あり!!これは・・・速い!!来ます!!」
オペレーターが恐怖感を覚えながらも叫ぶ。
ズシャンが前方を見る。
「・・・!!ガンダム!?」
ズシャンが呟くと、その敵MSはライフルを放ちブリッジを打ち抜いた。
当然、ローウェンスは撃沈してしまう。

〜ライグランズ〜
月基地に到着した、ライグランズは状況を確認する為に、ズシャンに連絡をとる事にした。
「そんな・・・。」
カナンが絶句する。
「どうした、カナン!?」
そのカナンの様子を見たフォーランがカナンに訊いた。
「ズシャン少将の旗艦、ローウェンスの繋がりません・・。反応も無い為・・・。」
カナンは言いにくそうに言う。
何しろ、フォーランとズシャンは昔からの旧友らしいからだ。
「・・・そうか。戦争に犠牲は付き物だ。仕方が無い!!MS部隊発進させろ!!ライグランズの主砲ENチャージと共に、標準合わせ!!」
カナンはフォーランの呆気ない態度に疑問を感じながらも、格納庫に通信を入れる。

〜格納庫〜
「MS発進してください。目標はフェダールの艦隊です。」
カナンが言う、すると、次にモロキのスパイルに通信を繋いだ。
既にスパイルは出撃している。
後ろには、レイル機とディストレス、シャドウ機が居る。
月基地に向かう途中、フォーランからの提案で、モロキを筆頭にレイル、そしてシャドウの3人でチームを組むことになったのだ。
理由は、ディスターブ隊でも能力がずば抜けて居る為、特別任務を行う為だと言う。
「モロキ大佐、現在味方の損傷が激しく、連絡が取れる状態ではありません。なるべく、自己の判断で状況を確認して下さい。尚、ライグランズは月基地の最終防衛ラインに付きます。モロキ大佐達は、なるべく敵機を多く撃墜し、損傷を最小限に抑えるのを心がけて下さい。」
「無茶を言うな、まったく・・・。さすがの俺でも、限度があるぜ。人間なんだからな。」
カナンの発言を聞いたモロキが少し無理に近い作戦内容に呆れる。
「やれるとこまで、やりましょう・・・。MSも多数接近してるみたいですから。」
シャドウが言う。
最初は、無口っぽい印象があったが、以外と喋る奴・・・
モロキはそう感じた。
シャドウの言うとうり、敵MSがライフルを乱射して来る。
「各機散開して、敵を各個撃破!味方からの攻撃にやられるなよ!」
モロキが指示を出す。

〜ライグランズ〜
「モロキ大佐の部隊、戦闘空域への突入を確認。」
カナンが言う。
するともフォーランが指示を出す。
「主砲発射せよ!、目標、ポイント201の敵艦だ!うて!!」
激しい、轟音と衝撃がライグランズクルーを襲う。
バラスート級8番艦と言えど、主砲の威力はバラスートの2倍以上ある。その分、クルーにくる衝撃も凄い。

一方、モロキ達は順調に敵MSを撃墜していった。
「前方に敵艦を確認!」
レイルが叫ぶ。
「よし、シャドウ!レイル!敵艦を潰すぞ!」
モロキは指示を出すと、シャドウが急接近し、ビームブレイカーで、主砲を切り裂く。
「隊長!レイル!今です!!」
スパイルと、レイルのフォートムがライフルを乱射しながら、敵艦に接近して行く。
すると、モロキのスパイルは艦の後方に行き、メガビームバズーカを取り出し、標準を合わせる。
「ENチャージ完了、敵艦標準!当たれ!!」
モロキが叫び、トリガーを引く。
大出力のビームは敵艦を撃沈させ、近くに居た敵艦もう1隻をも撃沈させた。
「よし、次のポイントに向かうぞ!!」
モロキがスラスターを吹かし、スパイルの方向を変えようとしたその時、カナンからの通信が入ってきた。
「モロキ大佐!上昇して下さい!敵艦から、ミノフスキー粒子を確認しました!」
カナンが叫ぶ。
「何だと!?ここまで来て、撤退するのか!?フェダールは!!」
モロキが疑問を感じながらも、シャドウ、レイルと共に上昇し、敵艦から離れる。
「全部が撤退するの・・?」
レイルが呟く。次々と、敵艦がワープして行く。
シャドウは唇を噛む。全ての敵艦を落とせなかった自分に対する叱りを隠せないようだ。
「何故だ・・・?何故、撤退する必然がある・・・。」
モロキが目線を下に逸らすと、1機のMSが撤退する艦に帰艦しようとしている。高スピードで移動している。
「あの機体・・・、フェダールの量産MSとは違う・・・。ならば!」
モロキはフルスピードで、その機体の後方に行き、ライフルを放った。
相手は、当然のように回避をする。
モロキは回線を入れた。相手がカスタム機なら、何故フェダールの部隊が撤退したのかを知っているかもしれないからだ。
「おい!何故、撤退する!?ここまで来て!!」
相手は黙ったままだ。
「こいつ・・・あくまでも、喋らない気なら!!」
モロキは、両肩のガトリングガンを乱射する。が、敵MSは弾を次々と回避してくる。だが、反撃はしてこない。
「速い・・。こいつは!」
モロキはガトリングにライフルの攻撃を合わせて攻撃を行った。
次の瞬間、敵はスパイルの方を向き、ビットの様な物を射出した。
モロキのスパイルはビットの様な物の放ったビームに右腕と頭部、つまりメインカメラを打ち抜かれ破壊された。
「なっ!・・くそっ!!」
モロキは、ディスプレイを叩く。
カナンから通信が入る。
「モロキ大佐!早く、後退して下さい!粒子を食らいます!」
「・・・了解、帰艦する。」
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