第七話 「襲撃 再び(後編)」 議会軍とフェダールの戦いは激しさを増していた。 「くそっ!!フェダールめ・・・何時の間にこんな戦力を集めた!?」 モロキが言う。 敵機に向かってライフルを乱射し破壊する。 確かに、フェダールとの会戦当時に比べるとかなりの戦力が集まっている。 (それ程、議会軍とセツルメント統合軍に反発する者が増えていると言う事か・・。) サブディスプレイにカナンが映し出された。 「モロキ大佐、ポイント502の艦隊が全滅しました。そこを突破されてしまったら、月基地への進入路確保が出来てしまいます。そこの防衛に当たって下さい。」 「了解!」 戦場においてのカナンの通信は役に立つ。 だからモロキの行動もメリハリが出る。 「隊長!お供します!!」 レイルが横から加わる。 「僕もです!」 シャドウのディストレスがスパイルに近づく。 「よし!502に到着!シャドウ、レイル。俺は、ハイメガビームバスターのENチャージをする間、敵機を頼む。」 モロキがバックパックに搭載されているハイメガビームバスターを構える。 モロキが搭乗するスパイルには、2つの高出力のビーム砲が搭載されている。 1つは、ハイメガビームバスターである。ENチャージに時間が掛かるが、広範囲と遠距離戦に有利であり、戦艦の主砲10発分の威力を持ち、戦艦は一発で粉々になってしまう。しかし、発射時にブレが激しい為、散開した敵部隊の足止めや、敵艦を狙うときにしか効果的とは言えない。尚、そのENは専用のENパックを使うのだが、ENパックには1発分しか入らない為、使い捨てが難点である。 2つめはメガビームバズーカという武器。ハイメガビームバスターよりはENチャージの時間が少ないものの、威力は戦艦の主砲5発分である。連射性に優れ、発射時のブレも少ない為、的確に敵を落とすことができる。戦艦の強度も上がっている為、心中を打ち抜かなければ、戦艦の撃破は難しい。 「ハイメガビームバスター、ENチャージ開始!!」 ハイメガビームバスターのプラグをENパックに接続し、構える。 「シャドウ!何としても、敵機を押さえるわよ!!」 レイルがライフルを乱射しながら言う。 「分かっているさ!!」 シャドウが答える。 「この程度!!」 ディストレスがビームブレイカーを振りかざし、敵機を切り崩す。 「隊長!」 レイルのフォートムがライフルを連射し、スパイルに向かっていった敵機を打ち抜く。 「2人共!あと少しだ!頑張ってくれよ!!」 モロキが言う。 「このぉ!」 シャドウが叫び、ビームライフルを乱射する。 続いてレイルのフォートムのライフルもその攻撃に加える。 「97・・・98・・・99・・・100!!シャドウ!レイル!下がれ!!」 モロキが言うと、ディストレスとフォートムがスパイルの後ろに下がる。 当然、敵機は向かってくる。 「ハイメガビームバスター!発射ぁぁ!!」 モロキが発射ボタンを押す。 銃口から、大量のビームが発射される。 「くっ!・・・うぉぉぉ!!」 モロキに掛かる負担と衝撃は大きい。 だか、モロキは気迫で右へとバスターを滑らせる。 次に左、上、下・・・その結果、敵部隊の排除は成功した。 「はぁ・・はぁ・・・。よし、次のポイントに行くぞ!!」 モロキはそう言った後、ENパックを取り外し、バスターを投げ捨てた。 「カナン、状況はどうだ?」 モロキがカナンに訊く。 「はい・・・えっ!速い!!・・・隊長!月基地の司令部に敵MSが!!」 「何!?」 モロキはスパイルを半転させ、司令部の方を見る。 〜月基地 司令部〜 「司令!敵MS接近!!」 オペレーターが言う。 「ば・・馬鹿な!!この包囲網を突破したと言うのか!?」 ストロの額から汗が滴り落ちる。 「迎撃!!護衛のMSは迎撃を!!」 ストロが言う。 すると、司令部の護衛MSが迫り来る敵機に向かって集中砲火をする。 だが、敵機は難なくビームを回避して行き、反撃をする。 相手はライフルを乱射し、一瞬で護衛機を破壊してしまった。 「そ・・そんな!!」 ストロが一歩下がる。 「う・・うわぁぁ!!」 ストロが叫ぶ。 敵機は司令部をビームライフルで打ち抜く。 その結果、司令部は爆破炎上してしまう。そのせいで、議会軍とセツルメント統合軍の指揮系統は乱れてしまった。 「くそっ!!間に合わなかった!!」 モロキがコンソール画面を叩く。 「んっ!?あの敵は・・・あいつだ!!」 シャドウが叫ぶ。 モロキも司令部を落とした敵機にズームアップをすると、キャルセツルメントで霧の中戦ったガンダムタイプのMSだ。 シャドウが先走ってしまうのも無理は無い。 「おそらく、あれに乗っているのは・・・。」 モロキが呟く。 すると、再びカナンがサブディスプレイに映し出される。 「隊長!!その宙域に急速接近する機体が有ります!!速い・・!?気をつけて!!」 カナンが叫ぶと同時に敵機が現れた。 そのMSには見覚えがあった。 「あのMSは!」 あの以前の月基地攻防戦でモロキが敗れた敵機である。 「そこのパイロット!!回線を開け!!」 モロキが叫ぶ。 レイルは唖然としている。 普通、戦場で敵機に通信を仕掛け、回線を開けなどとは言わない。 回線のボタンが青くなった。相手が回線を開いたのである。 モロキはメインディスプレイを見る。 そこには敵機のパイロットが映し出された。 モロキはバイザーを上げる。そして、メインディスプレイをマジマジと見る。 モロキは敵のパイロットを見ると自然と手に力が入り、スロットルを握り締める。 そして、モロキは口を開く。 「・・・てめぇ・・・お前!セイル・・・、セイル・ギア!!」 |
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