第一話 「革命の者達」


フェダールの本拠地、太陽の月の中間に位置するセツルメント統合軍の軍事工場の近くにある小惑星MB−FR。ここには毎週、数十名の一般市民や議会軍、及びセツルメント統合軍に属する者がフェダールへの加入に足を運んでいる。
今日もまた、議会軍のやり方に反発する者がMB−FRに足を運んでいる。
MB−FR内にはMS格納庫が大きく設けられている。
1隻の戦艦の3倍の広さはある。小惑星だからこそ成し得る広さだ。

〜MS格納庫〜
ここでは、フェダールの量産型MSエクスセイバーが並んでいる。MSの操縦訓練に明け暮れる者も居れば、MSのメンテをする整備班も居る。
1機のMSがカタパルトに着艦する。そして、コックピットが開き中から1人の人間が降りてくる。
「お疲れ様です。どうですか?」
1人の整備班が降りてきたパイロットに話しかける。
「あぁ、システムとのシンクロも大丈夫だし、操縦系統に問題はない。それにシステム自身が喜んでいた。」
その男がバイザーを上げ、ヘルメットを取る。
「そうですか。それと、先ほど司令室から呼ばれましたよ、ランドさん。」
「司令室に?分かった。」
その男は格納庫を出て、エレベーターに入る。
この男、名前はランド・セブ。15年前、ブレイジング隊で戦った男。隊が解体後は'人類進化論'を発行し、数々の賞を受賞した。しかし、チャリンズセツルメント崩壊事件の後、行方不明となっていた。
「失礼します。何でしょうか?」
司令室に入るランド。
入ると、1人の男が椅子に座っている。
「どうだ?MSの調子は?」
その男が言う。外見から30代の男で、髪の毛の色は薄い青。
「システムに以上はないです。ステルスの発動に問題はありませんし、十分使えるかと。」
「そうか。それと、あいつが今日にも到着するそうだ。」
「えっ!?あの人が!?」

〜MS格納庫〜
再びMS格納庫。ここには、エクスセイバーのカスタム機が1機機動テストをしようと、カタパルトに足を接続していた。
「接続完了ぉ!エクスセイバー発進する!」
男が叫ぶ。
「ダミーバルーンを破壊するだけなんだから、変な事しないでよね!?」
整備班の服を着た女性が呆れ口調で言う。
「変な事って何だよ!?」
「余計な事するな!!って事!スラスターとか余計に使いすぎなんだから・・・」
「実践で使えるように、事前練習だよ!事前練習!たくっ、いちいちうるせぇ奴だ・・・」
「いいから、さっさと発進しなさい!!」
女性の怒声に煽られる様に発進したMS。
目の前にはダミーバルーンが展開してある。
「へっ!機体の動きはOKだな!」
次々とダミーバルーンを破裂させて行く。いつの間にか、全部破裂させていた。
「ちょっと、機体はどうなの?」
さきほどの女性から通信が入った。
「あぁ!バッチリだぜ!!」
男はガッツポーズをする。
「ホントにぃ?まっ!いいわ、あとでメンテすれば分かることだし・・・・あれ?レーダーに反応?」
確かにレーダーは1機のMSの反応を示していた。
それは、MSに乗っているパイロットも気づいていた。
「データに登録なし。敵機の可能性があるな。これより迎撃に移る!」
「ちょっと!勝手なことしないで!!まだ敵か分からないのに!」
「敵に決まってる!データに登録がないんだ!!」
パイロットはエクスセイバーのスラスターを吹かし、未確認MSに向かっていく。
エクスセイバーはMSは標準をロックすると、ライフルの引き金を引いた。
ビームを放つ。MSは左に避けるが尚も前進する。
「行かせるか!!」
エクスセイバーはサーベルを抜くと、MSに接近する。
「このぉ!」
サーベルを振りかざす。だが、相手はそれをビームシールドで受け止めた。
外見からガンダムタイプの様だ。
「相手の機体・・・ガンダム!?」
「・・・い!そこ・・・パイ・ッ・!回線を・・・け!!」
スピーカーから雑音が聞こえる。どうやら、接触回線のようだ。
「んぁ?何だ?」
パイロットは回線を開いた。
「お前、何のつもりだ!」
相手から怒声が聞こえ、ディスプレイに相手の顔が映し出される。
「あ・・・あなたは・・・!!」
一気に顔が青ざめる。

〜MS格納庫〜
エクスセイバーとガンダムタイプのMSが着艦する。
同時にパイロットが出てくる。
ガンダムから降りたパイロットはヘルメットを上げエクスセイバーのパイロットに近づく。
「まったく・・・勝手な行動をしたばかりか味方に銃を向けるとはな。」
「す・・すいませんでした!」
そこに女性の整備班が近寄る。
「すいませんでした!私が止めたのに、ロマードが勝手に・・。」
エクスカイザーから降りたパイロットの名はロマードと言うようだ。
「だって!あの状況じゃ、仕方ないだろう!?キャリー!!」
整備班の女性の名はキャリー。
「・・・・この件については、報告しておくか。」
男はそう呟く。
一気に、ロマードとキャリーの顔が青ざめる。
「冗談だ。ここは軍隊じゃないしな。」
そう言い、笑いながらその場を去って行く男。
「本当にすいませんでした!」

〜司令室〜
「遅かったな。」
「そうか?お前は、時間に厳しいのは変わらんな。」
先ほどのガンダムのパイロットと薄い青をした髪の毛を男が話している。
「とにかく、無事で良かった。」
「あぁ。・・問題は少しあったが。」
呟くセイル。
そこにドアが開き、1人の男が入ってくる。
「ん?・・・久しぶりだな。ランド。」
「変わらないですね。セイルさん。」
この男は、セイル・ギア。ランドと同様、ブレイジング隊の一員。後に、その優秀すぎる戦績から歴戦の勇者と言われるようになった。軍を退役後、家族共々でレストランを開店させる。が、ランド同様チャリンズセツルメント崩壊後は行方が分からなくなっていたのだ。
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