第七話 「燃える月」


月基地ではセツルメント統合軍の艦隊を含めた議会軍艦隊と、フェダールとの戦いは5時間たった今も尚、激しく続いている。
セイルが通信でドスに乗艦しているルフェスに通信を繋いだ。
「こちら、セイル。ルフェス、思ったより敵の数が多い。どうする!?」
敵の戦力は以前戦闘が有った為だろう。艦のレーダーを見れば敵の戦力が以前より上がっているのだと言う事が一目瞭然だ。しかしもフェダール側も以前の倍以上の戦力を導入していた。
「例の部隊が現れるまでもう少しだ。持ちこたえてくれ。」
「まだ来ていないのか・・・。分かった。」
通信を切り、敵機の迎撃に移るセイル。
目の前の敵機をビームライフルで打ち抜くと、通信が入ってきた。セイルは冷静に回線を開くボタンを押す。
画面にはアルミーが映し出された。
「どうした?」
「ランドが無事テレスに着艦しました。補給が終わり次第、出撃させます。」
アルミーは嬉しそうに言った。
心の中では帰ってくると信じつつも、やはりランドの事が心配で堪らなかったようだ。いざ帰ってくると、アルミーは笑顔が勝手に出てしまう。
「そうか。ランドにポイント509の艦隊の撃滅を頼んでおいてくれ。」
「分かりました。」
通信が終わる。セイルは目を前にやると、2機のエクスセイバーのカスタム機が並んでいた。
赤と青のエクスセイバー。
ロマード機とアルネス機だ。
セイルは2人のコンビプレーをしばし見ていた。隙の無い攻撃と回避、2人の息の合った戦闘スタイル。セイルは何か懐かしい感じを覚えていた。

ユニバーセツルメントを出発するシャトル。その中にはアレン達が乗っていた。
「ミニンさんの話が正しいのなら、セイルさんがフェダールに入るのも無理は無いよ。」
アレンが口を開いたことに少し驚くハーニア。
「だって・・・自分の子供が、議会軍の理屈で殺されたら・・俺は決して議会軍を許さないと思う。」
「・・・そうね。」
その後、アレンとハーニアの会話は途絶えてしまった。
アレン達の家があるセツルメントまでの時間はあと1日は掛かりそうだ。

〜30分後〜
月基地の攻防戦ではフェダールが押している。
敵の艦隊が後退して行くのが良く分かる。
セイルも次々と敵艦を撃沈させて行く。ランドのエボリューションも戦線に復帰し、それ相当の戦果を上げていた。
このまま月基地制圧かと思われた時にセイルに通信が入ってきた。
画面に映し出されたのは半分はルフェス、もう半分はアルミーだった。
「セイルさん、ポイント610に例の部隊と思われる艦隊を捕捉しました。」
「来たな。セイル、ポイント610は司令部の近くだ。ランドと共に向かってくれ。」
「了解だ。」
セイルはランドと合流すると、ポイント610に向かっていった。

ポイント610に辿り着こうとしたときだ。ポイント502に敵機の反応があった。ポイント502を通らなければ、ポイント610には到達できない。
「ランド、お前は先に司令部を破壊しろ。」
「えっ!?」
ランドが不思議そうな顔で画面に映し出されているセイルを見る。
(前方に、青い色をしたガンダムが居る。お前も、あのパイロットが誰だか・・・検討はつくだろ?)
ランドに伝わったセイルの考え。これがニュータイプの力なのかは定かではない。
(はい。じゃあ、そっちは頼みましたよ!)
エボリューションはステルスを発動させ、月基地の司令室に向かって行き、レボリューションは前方の敵部隊との接触を試みた。

セイルが前方の敵MSが肉眼でも確認できる位置に来る頃、ランドは司令室を破壊していた。
レーダーに目をやると、敵は3機居たのに対し、今は2機しか居ない。もう1機はランドの方に向かったのだ。
突然、敵MSから通信が入ってきた。
セイルは回線を開くボタンを押した。
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