第八話 「再会」


エボリューションは月基地の司令室目掛けてステルスを発動させながら迫っていく。途中、敵MSが出てくるが、ステルスを扱っているランドからすれば、敵MSなど所詮止まって見えている。簡単に撃墜させて行く。
「あれか!」
ランドは前方に司令塔が立っているのを肉眼で確認した。
前方から7機程の護衛MSが現れる。
ランドは敵の攻撃を回避しながらビームライフルを連射した後、ビームサーベルを使い敵機を次々と破壊して行く。
護衛機が沈黙したのを確認すると、ランドは司令部にゼロ距離の所まで接近し、ライフルを構える。
敵の司令官らしき人物が嘆いているのが分かったが、ランドは動じる事なく、ライフルの引き金を引いた。
その結果、司令室は大破し、議会軍艦隊及び、セツルメント統合軍の指揮系統は混乱し、状況はフェダールが完全に有利になった。
ランドはその事に対しての罪悪感と言うのは、1つも無かった。そもそも、15年前から戦争に参加し、何人もの人間を殺してきたランドにとって、戦争による罪悪感と言うのはないのかもしれない。それはランドだけに限らず、セイルも同様だ。
『ランド!何か来る・・・!』
突然、システムの言葉がランドに伝わった。
「何か!?・・・あいつは!!」
ランドは肉眼で確認すると、以前のキャルセツルメントで戦った黒いガンダムが接近していたのだ。
ランドは機体を上昇させると、ライフルを連射した。
相手の機体から黄色い粒子のような物が見えた。
「ステルス!?」
ランドはステルスを発動させまいと、両腰部のメガビームキャノン、ライフルを一斉発射した。
敵機は被弾しながらも、ステルスを発動し、エボリューションに接近した。
「くそっ!」
ランドはライフルを投げ捨て、ミサイルを発射した後、両肩のツインビームランチャーを構えた。
敵機はステルスを発動し、ミサイルを回避する。
ランドも再びステルスを発動させ、敵から遠ざかる用に動く。
ツインビームランチャーの射程距離を得る為だ。
しかし、相手もステルス。エボリューションと同じ速度、又はそれ以上の速度で追いついてくる為、中々敵機から離れることが出来ない。ランドはツインビームランチャーをバックパックに戻し、ビームサーベルを抜いた。敵機に接近する。
エボリューションがサーベルを振り下ろす。
相手はビームシールドでサーベルを受け止める。
相手もライフルを捨て右手にビームブレイカーを持つ。
エボリューションは後退し、頭部のバルカンと胸部のメガガトリングガンを発射し、敵機を後退させる。
ランドは右腕に装着されている、ビームチャクラムを発射した。
これは、R2ガンダム・パワードが装備していたシールドチャクラムの技術を応用、発展させたもので、レボリューションにも同じ武器が装着されている。
エボリューションはビームチャクラムを、敵機を近づけさせないように振り回した。
ランドの読み通り、敵機は更に後退する。
「今だ!!」
エボリューションはツインビームランチャーを構え、ロックオンをすると、トリガーを引き、連射した。
ビームは敵機の両脚と左肩を破壊した。
すると、通信が入ってきた。アルミーからだ。
「ランド。テレスが囲まれたわ。直ぐに援護をお願い!キャッ・・!!主砲、連射!敵機を警戒させて!!」
アルミーの発言から、テレスが危機だと言う事が分かり、ランドは敵機にトドメを指さず、テレスの元へと向かった。

〜30分後〜
月基地での戦闘が終了し、議会軍の艦隊は撤退した。
フェダールはと言うと、月基地の制圧作業をしながら、各艦が撤退作業をしていた。
エボリューションはテレスに着艦し、ランドがコックピットから出てくる。すると、レボリューションと青いガンダムがテレスに着艦した。
「青いガンダム?・・・セイルさん、説得に成功したんだ。」
ランドはコックピットのシートを蹴り、エボリューションの元へと向かった。
レボリューションからセイルが、青いガンダムからパイロットが降りてくる。
セイルは何か浮かない表情をしていた。それが何故だかは、ランドは分からなかった。
青いガンダムから降りてきたパイロットがヘルメットを取る。それは、15年来の再会だった。
「やっぱり、モロキさん。」
ランドは床に立ち、モロキの方を向く。
「ランド・・・!やはり、ランドもフェダールに参加していたのか。」
「お久しぶりですね。モロキさん。」
そう、青いガンダムのパイロットはモロキ・グレンだったのだ。
ランドは笑いながら、手を差し伸べた。
モロキも笑いながらランドの手を握った。
そこに基地内放送が流れた。
「モロキ・グレン、ようこそフェダールへ。我々は、君を歓迎する。」
声はルフェスだった。
そして、モロキはセイルとランドと共に、司令室へと入った。
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