第二話 「終わらぬ進化への想い」 U,C,0260 10月 アーサー・ゲイルがシグマ帝国を建国してから、半月が経った。議会軍との戦闘は膠着化していた。 ブレイジング隊は新型のMS3機を受取っていた。 〜バラスートU〜 ブレイジング隊の新造戦艦、バラスートUが静かな宇宙を走っていた。 「これが、新型のMS・・・ねぇ。」 モロキが両腕を組み、作業員と話していた。 「セイルもあと少しで合流するみたいですよ。モロキ大尉。」 メイスが駆け寄ってきた。そう、モロキは大尉に昇格していたのだ。もちろん、メイスも少尉に、グローバーも少将に昇格していた。 「たく!これから戦闘に入るってのに、何時まで作業が遅れてんだか・・・。」 モロキが呆れた口調で言った。 「仕方ないですよ。メインコンピューターがビットとの調整がうまくいかないみたいなんですから。」 「まっ!いいか・・・。それより、隊長はどうなんだ?」 モロキが目の色を変えた。 「えぇ。ちゃんと出れるみたいですよ。シグマの亡霊は許せないって言ってましたけど。」 モロキがヘルメットを被る。 「あの人・・無理しなきゃいいけどな・・・。」 〜アクアセツルメント〜 ここのセツルメントもシグマ帝国によって制圧されたセツルメントの一部であった。尚、その制圧のために襲撃に合い死んだ人間も多数出ている。 「おい、ジョーニアス、そのお皿持って来てくれよ!」 1人の少年が皿を洗っている。 「はいはい。ローレンス、マリマは?」 そのジョーニアスと呼ばれる少年が隣に座っているローレンスという少女に問いかけた。 「マリマちゃんなら、アルミーを連れて買い物に行ったわ。ちなみに、ヨンル君はまた、ジャンクパーツいじり。ランド、そのお皿洗い終わったら、ヨンル君の部屋に行こーよ。良いパーツが揃ってるみたいだから。」 ランドが水を止める。 「そうだね。たまには、行ってみるか。」 一方、バラスートUからはMSが出撃していた。 「隊長、我々は隊長の援護に回ります。」 モロキが言う。 「了解だ。私が無理をしそうになったら止めてくれよ。」 隊長機がカタパルトデッキに立つ。 「グライス・カロニア!GR−01出る!!」 〜アクアセツルメント〜 「んっ!今、音がしなかった?」 ランドが足を止める。 「・・・何も聞こえないわよ?気のせいじゃない?」 「そうかな・・・?」 ランドは再び、歩き始めた。 その時だ。 突然、警告音が鳴り、周辺の住民が家から出てきた。 「おーい!!みんなー!!」 向こうからヨンルが走ってきた。 「どうしたんだ?ヨンル?」 ジョーニアスが問いかけた。ヨンルは息を切らしていた。 「はぁ、はぁ、大変だぜ!・・議会軍のMS部隊が侵入したんだってよ!!それで、シグマのMSとの戦闘になったって・・!!」 全員が仰天した。別にシグマを支援しているわけではないが、戦闘になったと聞いたからには、驚かずにはいられなかった。 「うわっ!!」 上空をMSが飛んだ。その後、次々とシグマの量産MSヴーイッグズが後退していたのだ。 「シグマが押されているのか!?」 ランドが呟いた。 その後、ヴーイッグズ1機がビームによって頭部を破壊され、ランド達の近くに墜落した。 「きゃあ!」 ローレンスが悲鳴を上げた。 「駄目だ!逃げるんだよ!ここに居ても死ぬだけだぞ!!」 ランドが先頭をきって走った。 「何処に行く気だよ!ランド!」 ジョーニアスがランドに追いついて問いかけた。 「港に行く!脱出シャトルぐらいあるだろ!?」 「まだ、ここが壊滅するって決まったわけじゃ・・・。」 ヨンルが横から口を出した。 「よく、あの戦闘を見てみろ!!議会軍のMSが次々とシグマのMSを落としていくんだぞ!!それで、MSの爆発で町だって壊滅寸前だよ!!」 ランドが両手を広げ、必死に説得する。 「でも、脱出したとしても、何処に行くのよ?」 ローレンスがランドに問いかけた。 「そのシャトルの燃料によるけど・・近くの無人ステーションに行けば。」 「ランドくーーん!!」 1人の少女がランドの事を呼びながら走ってきた。 「!マリマちゃん!!」 「や・・やっと見つけた・・・。」 良く見ると、アルミーの姿が無かった。 「マリマ、アルミーはどうしたの!?」 ローレンスが問いかけた。 「そ・・・それが、いなくなっちゃったのよ!!逃げてたら・・。」 ドーン!! 周りで爆発が起きた。 「駄目だ!!みんな走れ!!」 ランドが叫んだ。 「敵は・・・3機か!!」 グライスがライフルを乱射する。 その内、2機は破壊できたが、1機がビームを避けライフルを撃ってきた。 「甘い!!」 グライスが叫ぶと、大型の剣を出した。 「G・ソード!!とぁっ!!」 GR−01は大きくG・ソードを振りかざした。 ヴーイッグズは真っ二つにされた。それと同時にモロキ、メイスが近づいてきた。 「グライス隊長、どうですか?新型のMSの調子は。」 メイスが問いかけた。 「順調だな。モロキ大尉とメイス少尉は?」 「GR−02はG・ガトリングを発射したときの衝撃にも機体は十分に対応しています。なんとか、大丈夫です。」 モロキが先に答えた。 「GR−03もG・キャノン発射時、的へのズレは0,02。こっちも大丈夫です。」 「よし、後はシグマの情報基地を叩くぞ!!」 3機は90度方向を変え、ブースターで敵基地へと飛んでいった。 ランド達は港に到着していた。 「ランド、パイロットスーツはあったか!?もしものことがあるし・・・。」 ジョーニアスが問いかけた。 「予備のが2つあったけど・・・。駄目だね。ヨンル!発進準備できた?」 「あぁ、燃料は少ないけど、発進は可能だ!よし!出るぞ!!」 ヨンルの合図と共にシャトルは発進した。それと同時にシャトルの発進口が爆発した。あと少し遅れていたら、ランド達は爆発に飲み込まれていただろう。 「あぁ!見て!!」 ローレンスが叫んだ。シグマ帝国のMS隊が脱出していたのだ。 「んっ!!前方に戦艦をキャッチしたぞ。」 ジョーニアスが叫んだ。 「とりあえず、あの戦艦に着艦許可をもらおう。この燃料じゃ、どっちみち無人ステーションには行けないしな。」 ランドが通信ボタンを押した。 |
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