第五話 「閉ざされた笑顔」


セイルがMSのコックピットから出てきた。
セイルが床に着地する。目の前には、モロキやメイス、グローバーまでもが居た。
「セイル・ギア、無事帰艦致しました。」
セイルが敬礼をする。
「セイル、無事帰艦できて、何よりだ。」
グローバーが言う。
「久しぶりだな、セイル。これが新型のMSか?」
モロキが近寄ってくる。それと同時に、皆の目線がセイルが乗ってきたMSの方に行く。
「こいつは、RP−004−VT R3ガンダムだ。R2の後継機でもある。」
セイルが言う。
「このMSも、Rプロジェクトに関係しているんでしょ?」
メイスがセイルに問いかけた。
「俺も、議会軍の上層部からRプロジェクトへの参加命令が下った。現状ではこのMSもRプロジェクトに関わっていると言う事にはなっている。」
「なっている・・?」
セイルの発言にメイスが不思議に思った。
「お袋が言うように、"R"とは、繰り返すと言う意味合いだ。だが、このMSは俺が基礎設計を担当していてね、決意と言う意味を持っている。」
セイルがメイスの方を向く。
「イニシャルがRで、意味が決意・・・。Resolution・・?」
メイスが答える。
「そうだ、こいつは俺の新たなる決意の象徴。Rプロジェクトへの関わりは名前だけになっている。ところで、グライス大佐は何処に?」
セイルがグローバーの方を向く。
「・・・あぁ、彼なら部屋に居ると思うが・・・。」
「わかった・・・。」
そう言って、セイルはMSデッキを後にした。
グローバーもブリッジに戻った。
「なんか、1年半も会わなかったせいか・・セイル・・・変わったな・・・。」
モロキが呟く。
「セイルは変わったわ・・・。2年前の小惑星落下から・・・。ブレイジング隊が、アメリカを訪れたでしょ?あの時、セイルは1人で被害地を見てきたんですって・・。市民の悲しみがセイルに伝わって・・・。」
メイスが言う。
「ニュータイプだからか?」
モロキが呟く。
「それは分らない・・・。そして、その事が原因で、セイルの笑顔は消えたの・・・。市民が泣いているのは、自分のせいだって、考えたんでしょうね・・。セイルの笑顔は2度と見れないかもしれない・・・。」
メイスの眼に涙が浮かぶ。

一方、セイルはグライスの部屋の前に来ていた。
「失礼します。」
セイルがグライスの部屋に入る。
「セイル・ギア・・・。久しぶりだな。」
グライスが椅子から立ち上がる。
「戦う事に決めたのですね・・。」
セイルが言う。
「今、ここに居るのは、君のおかげだ。礼を言わせてもらう。」
グライスが頭を下げる。
「俺も新たな決意を表した様に、あなたも決意を表した。再び、偽名を使ってね・・。」


1年前・・。セイルは、廃棄ビルの中で暮らす、1人の男に会いに来ていた。
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