第六話 「秘められし力」


セイルは廃棄ビルのドアを開けた。目の前は光が少し入るぐらいで薄暗かった。
セイルが足を止めた。
「見つけるのに苦労したぞ・・・。ジング・シグマ。」
セイルの目の前には、ボロボロの服を着たジングの姿があった。
「・・・セイル・ギアか・・。皮肉にも生き延びてしまった私に何の用だ?・・ふっ!逮捕にでも来たか?」
ジングは座りながらセイルに話しかけてきた。
「あぁ、そのとおりだ。その前に・・・お前が生き延びる術を教えてやろう・・。」
ジングが耳を傾ける。
「戦う事だ・・。現在、シグマの残党達が集結し、また戦争が始まる。」
セイルが前に進む。
「私にシグマと戦えと!?」
ジングが立ち上がる。
「ただ、偽名を使ってな・・、グライス・カロニアを名乗るならだ。」
「私が、あの頃に戻れるのか・・・?」
ジングが聞き返す。
「それは、貴方しだいだ。脅すつもりは無いが、この答えが否ならば、今ここで殺すしかない。」
セイルは銃を持つ。
「周りは、許してくれるのだろうか?こんな私を・・・・。」
「それは分らん。感情は人それぞれだからな。俺はしばらく、ブレイジング隊を外れる。俺が帰ってくるまでには答えを出しといてくれよ。」

・・・・
「君の言うことは正しかった。私がこの道を選んだことに悔いは無い。」
グライスが眼鏡を外す。
「それが聞ければ十分です。それでは、失礼します。」
そして、セイルは部屋を後にした。

一方、ランド達はMSデッキでシュミレーターをやっていた。
「あぁ〜!!やられた〜!!」
ヨンルは撃墜されたようだ。周りには、モロキやメイスが居た。
続いて、ランドが椅子に座った。
「ランド君、目標は、皆と同じ、敵を3機落とすのよ。」
メイスがシステムを設定する。武装は、ビームライフルだけのようだ。
「MISSION  START」
画面に文字が表示される。
そこに、セイルがドアを開けて入ってきた。
「シュミレーターをやっているのか?」
セイルがメイスに問いかけた。
「えっ!・・あぁ、うん。子供たち皆ね。皆、初めての体験だから、1機も落とせないで終わってるけど。」
歓声が前から聞こえる。
不思議に思い、セイルが画面を見る。
「こ・・・これは!!」
セイルが仰天した。
なんと、ランドは既にMSを2機も落としていたのだ。
(前方に1機!敵の動きが分る・・・。そこだ!!)
ランドがライフル発射ボタンを押した。
見事ライフルが直撃し、敵は大破した。

MISSION COMPLETE!!
画面に文字のBGMが流れる。
ランドは、大喜びしている。
(このランドと言う少年・・・。まさか・・・。)
「セイル・・・。もしかして・・・。」
メイスがセイルの方を向く。
「まだ、断定は出来ない。グライス大佐にこの件は言わねば・・。」

その後、ブレイジング隊は地球へと降下した。
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