第七話 「少年の出撃」 地球に降下したブレイジング隊はアフリカにある補給基地で補給を受けていた。 〜MSデッキ〜 「う〜ん・・どうも、この本物の重力には慣れないね・・・。」 ジョーニアスが歩きながら言う。 「たしかに・・。地球に来るなんて、初めてだし。」 ランドが言い、立ち止まる。 「・・でも・・私たち、これで良かったのかな・・・?ここは軍艦、戦闘になったら何時、死んじゃうかも分らないし。」 ローレンスが言うと、マリマも隣で頷いていた。 「せっかく、地球に来たんだ。ここで、オサラバしようぜ?俺達、一時的にここに居るワケだし。」 ヨンルがランドに言う。 「・・・僕は、こう思うんだ。地球も、セツルメントも大して違いは無いんじゃないか・・・って。地球に俺達が住む場所なんて無いし、戦闘に巻き込まれて死ぬかもしれないし・・。」 ランドが言う。 「でも、俺達、同じような理由でセツルメントから、この軍艦に乗ってるんだぜ?この船に乗ってた方が安心だ!って言いたいんだろ!?」 ジョーニアスが怒ってしまった。 「・・ごめん!・・簡単に言うと、そう。」 ランドが苦笑いしながら頷く。 「とりあえず、今後の事は艦長さんと相談するしか無いわね。」 ローレンスが歩き始めた。その時だ、セイルが近づいてきた。 「ランド君、少し話がある。来てもらえるかな?」 ランドは不思議そうな顔をしていた。 〜セイルの部屋〜 「そう、緊張しなくても良い。とりあえず、座りたまえ。」 そわそわしていたランドは椅子に座った。 「ぼ・・僕に何か?」 ランドが問いかける。 「さっそく、本題に入るが・・・先日のシュミレーションで君は何かを感じたはずだ。」 セイルが椅子に座る。 「・・な、何か?ですか・・?」 「そうだ。例えば・・・CPUの動きがなんとなく予感できたり・・。そのおかげで、敵を3機落とすことが出来た・・。違うか?・・違わないはずは無いだろ?」 セイルが問い詰める。 ランドが重い口を開いた。 「・・そうです。たしかに、敵の動きが分った気がします。」 「なら、話は早い。・・君には、ニュータイプの素質がある。」 ランドはそのセイルの発言に戸惑いを隠せないで居た。 「にゅ・・ニュータイプって、超能力的な事が出来たり、パイロット特性があるって言われている・・・。」 セイルが立ち上がる。 「その答えでは、30点だな。それは、単なる説に過ぎない。実際、私にもニュータイプとは何かは知らない・・。人類の革新、人間が進化した者とも言われているが、それは真実なのかは分らない・・・。真実も知らないのに、ニュータイプの言葉を出すのも可笑しいが、君は、新たなる人類の1人かもしれない。2年前、ジング・シグマは俺に、次の世代の人間なると言った・・。だが、俺は奴の期待どうりにはなれなかった・・・。おっと、話の主旨が変わってしまったな。とにかく、君達は、一時期、我々の行動を共にしてはいるが、軍人では無い。よって、君達は好きなときにこの艦を降りれることが出来る。だが、私は君のこの艦に残留を志願したい。勿論、君を戦場に出すだろう、それが嫌ならば、友達と降りるがいい。まぁ、好き好んで戦場に出るのは居ないがな。良く考えることだ・・・。私は、君の力を信じている。」 一方、モロキとメイスはMSデッキに来ていた。MSの整備のためだ。 「結局、セイルがMS部隊の副隊長になったんだろ?」 モロキがメイスに問いかける。 「えぇ。ムーン大尉が転属されたから。」 「けっ!セイルが居なけりゃ、俺が副隊長だったのになぁ・・・。」 モロキが冗談で言った。 「どっちも、どっちじゃないんですか?」 メイスが微笑みながら言う。 「さあね。まっ、俺には副隊長なんてのは性に合わない。セイルがなったおかげで、気が楽だよ。んっ!?」 モロキが歩いていたランドを見つけた。 「どうした?」 モロキがコックピットが出て、モロキの目の前に立った。 「あっ・・いえ・・。あっ!ところで、質問なんですけど・・・。」 「なんだ?」 メイスが駆け寄る。 「セイル大尉の鼻の横にある傷・・・なんなんですか?あれ?」 その発言にモロキとメイスは冷や汗をかいた。 モロキが重い口を開く。 「あの傷は・・・2年前の小惑星落下は知ってるな?」 ランドが頷く。 「その小惑星から脱出する際、スコープが割れて・・・。その傷・・・普通になら、とっくに癒えてるはずなんだが・・・何故か癒えないんだ・・・。」 ランドはそれを聞いて仰天した。 (セイル大尉・・・。一体、何を抱え込んでいるんだろう?) 2日後・・・ ブレイジング隊はアジア方面を抜けようとしていた。 「艦長!前方から、MS部隊、接近中!!」 ロムが叫ぶ。 「ちっ!こんな時に・・・。総員、第一戦闘配備!MS部隊は出撃準備!!」 〜MSデッキ〜 次々とブレイジング隊の新型量産機、ラズ・ステルが出撃する。このラズ・ステルも以前のラ・ムジィック同様、A,D,Lの3タイプに別けられる。 「セイル・ギア、出る!」 セイルのR3が出た。既にモロキやメイス、グライスも出撃しており、敵MSと交戦していた。 セイルもビームライフルを放ち、敵を落としてゆく。 しかし、味方の包囲網を突破した1機がバラスートIIに接近。敵MSがライフルを乱射する。 「うぁぁぁ!!」 ライフルが艦に当たり、衝撃によってグローバー達が叫ぶ。 その時だ。敵MSがビームによって爆破した。セイルはその発信源を確認しようと、カタパルトデッキの方を見る。 「セイル大尉!」 R3に通信が入ってきた。メイン画面にランドの姿があった。 「ランド!?」 思わず、セイルが叫ぶ。 「僕・・戦います。こんな戦争、早く終わらせたいし・・。ただ、僕1人が戦いに参加して、この戦争が終わらないでしょうけど・・・1秒でも、戦いが早く終わらせる事が可能ならば、僕は戦います。」 |
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