第十一話 「迫り来る敵」


Eは発進した。
ランドは、Eが勝手に動き出したため、焦っていた。
とりあえず、ランドはスロットルを握っている。
「なんなんだよ・・!このMSは・・!?」
だが、突然、コントロールが復活した。しかし、このままでは地面に叩きつけられてしまう。
ランドは突然、コントロールが復活したため、「えっ!?」と声を上げる。目の前は地面だ。
ランドはスロットルを引き、なんとか着地した。しかし、無理な緊急着地のためバランスを崩し、グラつく。だが、右手で横転を抑えた。ランドは安心したため、ため息をつく。
急に警告音が鳴る。ランドはレーダーに眼を通す。
「!!・・敵の反応が・・!!・・何!?1機だけ!?」

〜ブリッジ〜
「敵が1機だけだと!?」
グローバーがシートから立ち上がる。
「はい。レーダーには1機だけしか確認出来ないのです。」
デュースがグローバーに言う。
「ジャマーが発生しているのでは!?」
ロムがシートを反転させ、デュースの方を向き、訊く。
「いいえ、ジャマーは発生していないわ。とりあえず、対ジャマー用発生光線を放射しているけど、反応が無いのよ・・。」
突然、ドアが開き、セイルが入ってきた。
「敵が1機だけなのなら、ランドに任せれば良いだろう?」
「しかし、我がブレイジング隊に、たった1機で仕掛けてくるとなると・・・よほどのエース級のパイロットの可能性が高い。ランドだけと言う訳には・・・。」
グローバーがセイルの方を向き訊き返す。

一方、ランドはライフルを構え待ち伏せをしていた。
敵機を捕捉したのはロングレンジレーダーだったので、敵が来るのには少し時間が掛かる。ランドはロングレンジレーダーで捕捉した敵機の位置から予測の方角にライフルを構え、何時でも発射できる態勢に入っていた。
ランドは再度、機体のチェックを行う。先ほどの出来事がとても気になっていたためだ。
「やっぱり・・何処も正常だ・・・。一体、さっきのは・・。」
ランドがメインモニターを戦闘画面に切り替えたその時だ。
『来るぞ!!』
ランドの脳裏に、その言葉が過ぎった。
目の前には敵MSが居た。
ランドは脳裏を過ぎった言葉に疑問を感じつつも、ライフルを発射する。
だが、ビームは避けられ敵はサーベルを出してきた。
当然、ランドもビームサーベルを取り出し相手の攻撃を防御するため振りかざした。互いのサーベルがぶつかり合い、まわりに閃光と火花が飛び散る。
だが、敵は突然ブースターを使い、上に上がる。
Eは反動で前に少し倒れる。
敵は背後に接近し、サーベルを振りかざした。
「ちっ!!」
ランドが舌打ちをする。ビームサーベルに付いているビームシールドを発動させ、防御し、後退する。
『回線を開く・・』
また、ランドにその言葉が脳裏を過ぎった。
次の瞬間、その言葉どうり、回線が開き、敵パイロットの声が聞こえてきた。
「えっ!?本当に回線が開いた・・・。」
ランドは謎の言葉どうりになったため、驚きを隠せないで居た。
「けっ!!なかなか、シブトイ野郎だ!次こそは殺す!!」
ランドは敵パイロットの発言に怒りを感じた。
敵の発言は止まない。
「まっ!アーサーの野郎には感謝だなぁ。どんどん、仕事をくれるしなぁ。さっさと、このMSを破壊して次の仕事に行かなくちゃなぁ!!」
敵は接近してきた。ランドはマシンガンも装着したライフルを乱射する。しかし、敵は右へ左へ回避しながら、徐々にEに接近してくる。敵がサーベルを振りかざす。ランドはサーベルで受け止める。
「お前!聞こえるか!?」
ランドは接触回線を試してみた。
「あぁん?なんだよ、ガキじゃねぇか。」
敵パイロットは声から子供だと判断した。
「けっ!ガキ相手に手こずるたぁ、俺も本気を出さなきゃ駄目みてぇだなぁ!」
敵パイロットは回線を開き、Eのディスプレイに敵パイロットの顔が移る。勿論、相手の画面にもランドが映っている。
「お前は・・・!!」
ランドはその顔に、微かだが見覚えがあった。
「たしか・・・!全宇宙指名手配犯、バラン・トーウァズ!?」
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