第十二話 「発動 ステルス」


「へぇ〜。この俺様を知ってるのか?ガキの癖に!」

バラン・トーウァズ。母が自殺、父が殺人犯罪により死刑。幼き頃に孤児施設に預けられるが、何度も孤児施設を抜け出しては、盗難や犯罪を繰り返していた。そこに眼を付けた、宇宙世紀を代表すると言われる犯罪組織『ヒィーズ』がバランをスカウトし、青春時代を全て犯罪で染めてきた過去を持つ。人を殺すことを快感と覚え、大量殺人を繰り返している切れ者である。それにより全宇宙指名手配犯というレッテルが貼られ、全世界の人間がバランの存在を知ることになった。『ヒィーズ』壊滅後は行方不明であった。尚、彼は『殺し屋・バラン』の異名を持つといわれている。
「何故だ!?何故、シグマ帝国に加担するんだ!?」
先ほどのバランの発言の中で、"アーサーの野郎"と言っていた。つまり、アーサー・ゲイルとの繋がりがあると、ランドは読んでいた。
「アーサーの野郎はよう、この俺の力が必要なんだとよ!!そんで、俺はこのMS、ダインを手に居れた!戦争っつたら、人の殺し合いだ!だから俺は!人を殺すためなら、なんでも利用する!!戦争様様なんだよ!!戦争以上に人を殺せるイベントなんてこの世に存在しないんだよ!!」
ランドはバランの発言に怒りを感じた。手に自然と力が入る。そのため、スロットルを握り締めている。
「イベントだって・・・。ふざけるな!!人を殺すためだと!?そんな奴が、この戦いに入るなぁぁ!!」
ランドはフルスピードで接近して行く。
バランはサーベルを構え、受け止める体制に入っていた。
「けっ!!俺と同じように考えている人間なんて、シグマ帝国には何十人も居るんだぜ!?」
「何!?アーサー・ゲイルは、そんな奴らを・・・・!!だったら・・・僕がそいつらを倒す。お前みたいな奴らが居ると、真剣に戦争をしている人達が困るんだよ!まずは、お前をーー!!」
Eの周りに光の粒子が湧き出てくる。
『システムロック解除。ステルス、発動。』
又も、ランドの脳裏に言葉が過ぎる。
「システム解除だって!?これは!?」
その言葉は本当だった。段々とスピードが速くなっていき、ランドはバランが乗っているMS、ダインが止まって見えている。逆にバランから見れば、光があちらこちらを飛び回っていてロックオンが出来ない。バランは焦っていた。
「ちっ!!速過ぎる!!あんなに速く動けるMSがぁ!?」

一方、バラスートUでも戦いの映像が流れていた。
「あれが・・・、ステルス機能か・・・!?」
グローバーは唖然としていた。セイルもあのステルスを見るのは当然、初めてだったので、冷や汗を流している。
「ロム、この映像を録画しておくんだ・・。」
セイルが言う。ロムは録画ボタンを押した。後々、サッズで見せるためだった。

ダインは右腕を斬られた。バランが冷や汗を流し、舌打ちをする。
Eが移動中、光が無数に散らばれる。つまり、バランから見れば何機居るのかさえも判別が難しく、ステルスが発動されているため、光の帯がダインを囲んでいる。バランは恐怖で一歩も動けない。
「終わりだぁぁぁ!!」
ランドはパックパックに装備されている、ツインビームランチャーを回転させ、両肩に接続。トリガーを持つ。
「!!何時の間に!?」
バランは一瞬、何が起きたのかが分らなかった。気付いたら前方にビームランチャーを構えたEが居たのだ。
ランドはトリガーを引き、連射した。ビームは次々と発射され、ダインに直撃してゆく。
そして、バランは悲鳴を上げながらダインは大破した。だが、ランドは発射を止めなかった。

弾切れになる頃・・ランドはその場に立ち尽くし、近づいてきたバラスートUのロムに呼ばれるまでランドは上の空だったという・・・。

そして、ブレイジング隊はサッズへと入港する。
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