第十五話 「起こすべき行動」


バラスートUは宇宙へと上がった。
同時に、太平洋の勢力圏を失ったシグマ帝国の艦隊も宇宙へと上がっていた。
その結果、早期戦争終結を掲げた議会軍は全勢力を率いて宇宙へと上がり、第二次シグマ帝国戦争は終戦への光が見えてきていた。

バラスートU内の廊下を、セイルが歩いていた。
セイルにヴェーツェラに言われたことが思い出される。

「スパイは、ビギンズ中将ですって!?」
セイルがヴェーツェラが言ったことに驚き訊き帰す。
「あぁ、そうだ。奴のスパイ行動は、2年前の戦争から始まっていたのだ。」
ヴェーツェラが言った内容はこうだ。
ビギンズのスパイ行動の始まりは、2年前の戦争中、シグマからの多大な金を受取るために議会軍の情報を全て裏流しを行っていたのだ。代表的なのは"ブレイジング隊の情報流し"・"地球議会軍の総司令本部の場所"そして、戦争で多大な被害を出した、アメリカへの小惑星落下事件、これもビギンズが議会軍内部の情報をかく乱させた後、シグマへ小惑星落下ルートを伝達させたのだ。
そして、今年、ビギンズは極秘裏にEガンダムのテスト機動場所のカナダへの運送券を獲得し、Eガンダムの存在を知ったのだ。ビギンズが犯した代表的なのは"Eガンダムの機体情報の流通"である。そして、Eガンダムの奪取事件もビギンズが導いたと言う情報である。ビギンズにとっては、ブレイジング隊のEガンダム発見は予定外のものであった。それで項を焦ったビギンズはスパイの存在をヴェーツェラに明らかにさせた。
だが、その結果、議会軍の調査チームが調べた結果、スパイはビギンズ本人だと言う結果が出てしまい、軍法会議によって、その罪の重さから死刑と言う判決が決まり、セイル・ギアによって射殺されたのだった。


ビギンズの逆賊によって、太平洋艦隊のバランスは崩れ、そのまま特務隊のマリン・ブルー隊への全ての転属が決まった。マリン・ブルー隊にとっては、太平洋艦隊の戦力が加わるのは好都合であり、マリン・ブルー隊は、もしもの場合を考え、地球に残留している。


セイルがもう少しで、部屋にたどり着く時であった。
「セイル大尉!」
セイルを呼ぶ者が駆け寄ってきた。
ランドだった。
「どうした?」
セイルが訊く。
「グライス大佐が部屋に来てくれって言ってましたので、伝言に。」
「分った。すぐ行くよ。」

〜グライスの部屋〜
「失礼します。セイル・ギア来ました。」
セイルが敬礼をし、椅子に座る。
「来たか。君も感じていると思うが、何故、メイス少尉が敵に確保されたのかが気がかりでな。普通なら撃墜する方だと思うのだが・・・。」
セイルが少し黙り込んだ後、口を開く。
「たしかに、そのとうりです・・。俺は・・あいつに何もしていなかった・・・。自分が情けなくて・・・!」
セイルの手に力が入る。眼には少し涙が浮かんでいた。
「現状では、メイス少尉はMIAだ。彼女が現れない以上、どうすることも出来ない・・。だが、君は行動を起こさなければならないと思う。それは自分で考えるしかないがな・・。」
セイルは「はい」と呟き、部屋を後にした。
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