第二十一話 「戦いの始まり」


「グライス大佐の01の整備急げ!EのFAへの換装も忘れるなよ!!」
作業員が渇を入れるように叫ぶ。
決戦が始まり、MSデッキもざわついていた。
「セイル大尉!発進どうぞ!!」
作業員が発進信号が青になると同時にセイルに言う。
セイルは胸に手を当てる。セイルはメイスから貰った誕生日プレゼントのネックレスを首にかけていた。
「セイル・ギア!出るぞ!!」

グライスが通信ボタンを押す。相手はランドだ。
「ランド君、少し話しがある。」
それを受信したランドは回線を開く。
「何ですか?大佐。」
「君は、この戦争と2年前の戦いを起こしてきた、シグマを・・・許せるか?」
ランドは少し、驚いた表情を見せるが、グライスの質問に答える。
「・・僕は許せません。人類の進化だか何だか知らないけど、僕達の親を奪い、生活さえも困難にさせたシグマなんて・・・、全部、事の始まりの2年前の戦争がいけなかったなんだ・・・。」
グライスが眼を閉じる。
「・・・それが当然だろうな。自分の肉親が戦争によって滅んでいく・・・。シグマは歴史に逆らっていたのだな・・・。」
ランドは心の中で、グライスが何かを思いつめているのは分った。だが、何故なのかは分らなかった。
「ランド君、君はこの戦いで死んではいけない。君もセイル大尉と共に、未来を生きるんだ。」
ランドが返事をしようとすると、作業員の声が割って入ってきた。
「グライス大佐!どうぞ!!」
「グライス・カロニア!!出る!!」
ランドは、グライス大佐は生きないのですか!?っと言いたかった。
そして、FAへの換装が終わったEガンダムも発進した。
発進したグライスは思う。
(この罪は、死をもって払わなければなるまい。アーサーと共にな。人類の進化の方程式も全部間違っている・・・!)

〜バラスートU・ブリッジ〜
「メガ粒子砲、ENチャージ完了。目標、敵MS群。各機に伝達。速やかに、ポイント0500〜1050に居る者は退避。」
ロムが言う。
メインディスプレイにカーソルが合わされる。
「よし!打てぇぇ!!」
激しい音を立てて、メガ粒子砲は放たれた。

「テストはしてないけど、やってみる!!」
ランドはEの装甲に付いているミサイルハッチを開け、赤外線を放出した。
敵MS群に赤いライトがENの粒子になり取り付く。
「行け!ミサイル!!」
ランドは発射ボタンを押した。
ミサイルに恐れをなして逃げるMSも居たが、赤外線の粒子が付いている以上、逃げる事は出来ない。
ミサイルに向けてライフルを発射し、迎撃しようとしても、ミサイルは意思があるように、ビームを回避し続け、目標に当たる。
これは、議会軍が新たに開発した、新型ミサイルだった。
この性能にランドは恐怖感を覚えた。

〜エンパイアセツルメント内部〜
「そうか。ブレイジング隊も戦闘に参加したか。では、プロト1を出せ。私は、こちらの用がある。あと30分もすれば、私も出られるようになる、ギガントスの整備はカンペキにしとけよ。」
アーサーは腕に付けられた通信装置で作業員と通信をしていた。
そして、前方にあるドアの前で立ち止まり、IDカードらしきものを差込口に入れめと、ドアが開いた。
早速、アーサーはコンピューターをいじりだした。
(ふふふ。これさえ、できれば、議会軍艦隊など直ぐにでも壊滅させてやるよ。)

一方、セイル達も順調に敵機の撃墜に成功していた。
「よし。次は、ポイント305の敵部隊排除か。・・ん、あれはEVOLVE!?ランドか!?」
どうやら、苦戦しているみたいだ。
セイルはランドの元へ向かう。
「くそっ!もう一回、赤外線を!!」
ランドは再び、赤外線を射出し、ミサイルを発射した。
次々と爆破して行く敵MS群。
近くでMSの爆発が起きた。ランドはその方向を見る。
「セイル大尉!!」
R3の姿が見えた為、セイルだと分った。
セイルから通信が入る。
「ランド。ここは任せろ。お前はポイント1002の敵艦隊を一掃しろ。グライス大佐も居る。」
「了解・・!!」
ランドはブースターを使い、ポイント1002に向かった。
心成しか、ランドはグライス大佐も居ると聞いて、少し安心感を持った。グライス大佐も居れば、百人力だと思ったからである。

ランドはポイント1002に着いた。確かに、グライスの01の姿があった。
「グライス大佐!!援護します!」
グライスも敵艦の多さに、少し苦戦をしていたようだ。
ランドがビームライフルを連射し、敵艦を撃墜して行く。
グライスはランドの急成長に驚きを隠せないで居た。
(イプシロン・・・いや、EVOLVEシステムをあそこまで手名づけるとは・・・。さすがと言うべきか。)

〜エンパイアセツルメント内部〜
アーサーが今までキーボードを打っていた手を止める。
「よし。これで、議会軍艦隊は壊滅する・・。はははは!!!」
アーサーが、その部屋を出ると同時に、コンピューターのディスプレイに、'COUNTDOWN・START'の文字が映し出される。数字は15:00から始まった。

15分後に何が起こるのだろうか?
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