第二十三話 「議会軍艦隊 壊滅」 ランドはMSデッキに到着した。 他にも、補給に帰ってきたパイロット達も数名居た。 とりあえず、ランドはEに向かった。 「あと、どれくらい掛かりそうですか?」 ランドが近くに居た整備班に訊く。 「あと5分ってとこですかね。そろそろ、コックピットに入って、調整をした方が良いかと。」 「ありがとう。」 ランドはそう言うと、コックピットに入り、シートに座った。 それと同時に、メイスが帰艦してきた。 「整備班!03の補給作業を開始しろ!」 メイスはコックピットから出てくる。メイスは真っ先に、ランドの元へと向かった。 「ランド君。」 メイスが調整をしているランドに声をかける。 「メイス少尉。何ですか?」 「ランド君、君は。何か感じない?」 「何か・・・ですか?」 メイスの顔をよく見ると、いつものメイスらしくない顔つきをしていた。いくら何でも、戦闘中だからとはいえ、少し異常だった。 「感じる・・・かもしれません。何だか、変な気分です・・・。」 ランドは'昔の夢を見ました'、と付けたしたかったが、関係無いと思ったので、あえて言わなかった。 「そう・・・。プロト1ね・・・・。」 ランドはそれを聞き、少し驚く。 「プロト1・・・。まだ、それが居ましたね。」 ランドは、プロト1と言う存在が居ることをセイルから聞いていた為、知っているのだ。 メイスが口を開く。 「おそらく、プロト1は、かなりの精神操作をされている・・・。手強いと思うの。私も注意するけど、貴方も気をつけてね。」 そう言うと、メイスは03の方に行ってしまった。 (プロト1・・・・か。) ランドは機体の最終チェックをしようとしていた。 一方、セイルは敵機を排除しながらも、エンパイアセツルメントに近づいていた。 セイルはエンパイアの先端に付いている、巨大な砲身のようなものを気にしていた。 「あれは、確かに砲身だな・・・。なんだ?」 セイルはとりあえず、エンパイアに向かおうとしてた。 しかし、よく見ると、エンパイアは向きを変えていたのだ。 「何!?軌道を変えている・・・。向きは・・・、まさか!!」 セイルはフルスピードでエンパイアに向かった。 「まずいぞ!!目標は、議会軍艦隊・・・!」 一方、アーサーもギガントスの調整をしていた。 「ふふふ。15分経過したか。終わりだ!議会軍艦隊!!」 アーサーは腕にはめている通信機械の中にある、赤のボタンに目をやる。 セイルは通信ボタンを押した。相手は、議会軍艦隊だ。 「議会軍艦隊!!聞こえるか!!こちら、ブレイジング隊のセイル・ギアだ!旗艦等は早急に、その空域から離脱を・・・!!」 「さよなら。議会軍艦隊!」 アーサーは赤いボタンを押した。 セツルメントの長い砲身が光る。 セイルは眩しくて、目を閉じる。 ドォゥゥゥゥゥゥ!!! セイルには、激しいビームと思われる発射音しか聞き取る事が出来なかった。 勿論、バラスートUも、このレーザーは感知した。 光が消えた。 セイルは目を開く。 「こ・・・これはっ!!」 セイルは絶句した。 議会軍艦隊が見るも無残に残骸と化していたのだ。 その中に、生存している艦隊は残っておらず議会軍艦隊は事実上壊滅した。 よく見ると、ヴェーツェラ将軍の旗艦も大破していた。 「ヴェーツェラも死んだか・・・。しかし・・・、これは、エンパイア内部に侵入するしかないな・・・。」 口では軽く言えるが、状況は最悪だ。唯一の味方の議会軍艦隊も壊滅し、シグマ帝国と戦えるのがブレイジング隊だけとなってしまったのだ。 〜バラスートU ブリッジ〜 「セイル大尉からの報告によると、議会軍艦隊はエンパイアセツルメントからの巨大なビーム砲により、壊滅。ヴェーツェラ将軍も戦死。シグマ帝国の艦数は、約20は健在。・・・との事です。」 ロムがセイルからの報告に戸惑いながらもグローバーに報告する。 「シグマの新兵器か・・・。いくらエース部隊のブレイジング隊でも、これはキツイな・・・。」 グローバーも含め、全隊員が絶句していた。 だが、ここでグローバーは、この重い空気を掻き消すかのように、口を開いた。 「各機に伝達!エンパイアセツルメントから放たれたビーム砲によって、議会軍艦隊は壊滅した・・・。」 全隊員はグローバーの声明とも聞き取れる発言を聞き、目の色を変える。 「・・・2年前・・・我々は小惑星の落下を阻止出来なかった・・・!・・今まで、シグマは議会軍への復讐をしてきた。がしかし、今からは、我々ブレイジング隊のシグマに対する復讐だ!!」 |
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