第二十四話 「プロト1」


ブレイジング隊の量産MS、ラズ・ステル部隊が、次々と敵艦と敵MSを撃破して行く。だが、さすがに、議会軍艦隊が壊滅してしまった穴は大きく、ブレイジング隊もかつて無い程の犠牲が出ている。
モロキが敵艦に向かって、G・ガトリングを発射する。
「よし!セイル!!こっちは、片付いたぜ!!」
モロキが近くに居たセイルに言う。セイルも敵艦を沈めたようだ。
「モロキ、次はポイント301に向かってくれ。ランドが苦戦しているみたいだ。」
「お前は!?」
モロキがセイルに訊く。
「さきほどのセツルメントから放たれた巨大なレーザー砲。自分は真意を確かめてくる。もう一度、放たれたら最後だ。」
セイルはそう言うと、バーニアをふかしエンパイアセツルメントに向かった。
モロキも、しぶしぶポイント301に向かった。

〜ポイント301〜
ランドは、ライフルやサーベル、赤外線ミサイルランチャーなど、Eガンダムの武器をうまく使い、次々と敵MSを撃破して行く。
だが、やはりランドもニュータイプと言えど、まだ15歳体力にも限界が来ていた。
「はぁ・・・、はぁ・・・。レーダーに味方機?モロキ大尉!!」
ランドは息を切らしていた。
レーダーに02の反応があったので、思わず、モロキの名を叫んでしまった。
「何だ。ランドが苦戦してるって聞いて、来て見たが、この周辺の敵機は全滅してるじゃんか。さすがだな、ランド。」
「いえ・・・、ちょっとキツイですけど・・・。」
ランドは笑って答えるも、体力の限界に来ているのは、モロキも一発で分かった。
「ランド。キツイんだったら、バラスートUに帰艦しろ。お前の居ない分も俺たちが頑張るからよ。」
「いえ。皆さんに迷惑は掛けられませんよ。僕は自分の意思で戦っているんだし、行けるとこまで行きます。」
確かにそうだと、モロキは思った。
モロキ達、軍人は上からの命令は絶対で、戦争をしろと言われれば戦うしかなくなる。だが、ランドは民間人。今は議会軍に志願したが、状況が状況だったため軍人候補と言うことで戦ってはいる。だから、階級が無いのだ。
「分かった。だが、ほんとにヤバくなったら、バラスートUに戻って、休め。これは命令!」
モロキの命令にランドは、仕方なく、はいと言うしか無かった。

〜シグマ帝国 旗艦カウーター〜
MSデッキに1機の赤いMSが出撃準備に入っていた。
「では、頼んだぞ。プロト1。」
今までにアーサーと通信で何度が話していた博士がブリッジからプロト1と呼ばれるパイロットに通信で話しかけていた。
「何度も言わせるな・・・!!!私の名は・・・!!!」
プロト1は自分の名前を言おうとするが、精神操作を強くしてあるため、時折、頭痛に悩まされていた。
「早く、出撃させなさい。このままでは、こちらも危ないですから。」
博士が指示を出すと、プロト1が乗るMSはカタパルトに足を接続し、体制を低くする。
「出るよ!!」
プロト1は、そう叫ぶ。そして、プロト1の乗る赤い機体は、ある目標に向かっていた。
「さきほどからの、このイライラ感・・・。今すぐ、落とす!!」

〜ポイント502〜
このポイントには、グライスの01が居た。さすがは、ジング・シグマ。次々と敵機を堕として行く。
「この感じ!!、アーサー・ゲイルか!!」
グライスは右の方向を見る。
アーサー・ゲイルの乗るギガントスが接近していた。
「今度は完全に、あの世に送ってやるよ!!ジング!!」
「ちっ!!」
グライスは舌打ちをする。よく見ると、ギガントスの武装が違っていた。どうやら、パワーアップしたようだ。
互いがライフルを打ち合う。どちらも、互いの攻撃を避けて行く。
グライスが口を開く。
「貴様!人類進化計画の内容を知っての事で、戦うのか!?」
アーサーがライフルを撃ちながら口を開く。
「あぁ、そうさ。人類進化計画の内容・・・。それは、議会軍の壊滅だけでは無い事ぐらい、把握しているさ!!」
グライスがサーベルを抜き、ギガントスに接近する。
当然、アーサーも、不敵な笑みを浮かべながらサーベルを抜く。
「貴様!!あれは、知ってはいけない内容だったはず。どうして知っている!!」
01がサーベルを振りかざす。それに対し、ギガントスもサーベルで受け止める。
「貴方の父、ノーレン・シグマに教えてもらったのさ!!貴方が地球で、生きていた間にね!!」
更にアーサーがサーベルを振り回す。
ジングはバルカンを駆使し後退する。
「くそっ!お父様・・・。何と言う事を・・・!!」
グライス・・・いや、ジングの父はシグマセツルメントの支配者でもあり、かなりの大富豪だった。
だが、2年前の戦争が終わると同時に謎の死を遂げている。
議会軍は自殺だろうと断定した。
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