第四話 「真実と言う名の呪縛」


「親父!!」
セイルはブリッジに入った!!息を切らしていたため、少し間をおいてから喋った。
「おっちゃんも・・・そうだけど・・・はぁ、はぁ、親父も、はぁ、あの・・・Rガンダムについて、はぁ、何か知ってんだろ・・・!!」
「・・・・・・」
グローバーは黙ったままだった。
「隠してたって、分かる・・・!!親父の息子だからな・・・!!」
「・・・セイル・・・自分の部屋にいろ。今は戦闘中だ・・・!!」
「!!」
プシュュュ!!
「艦長・・・。セイルには教えても良かろう・・・。」
「シ・・・シルニーさん・・・!!しかし・・・!!」
「あんたが、思うことは良くわかっとる・・・!!しかし・・・なぁ・・・」
セイルには何が何だか分からなかった。そして、数分間、沈黙が続いた。セイルが重い口を開いた。
「お・・・親父・・・。」
「Rガンダム・・・・あのMSは、20年以上も前に作られたMSだ。」
グローバーは喋り始めた。セイルは言おうとした事を辞め、グローバーの発言に耳を傾けた。
「宇宙世紀235・・・当時、経済的不満から、内乱やクーデターが勃発。国の権力者が、議会軍本部を乗っ取ったんだ。その時、私はMSパイロットをしていてた。私は部隊のライトウィングを担当し、隊長機と行動していたんだ。その隊長機が、あのRガンダムだ。」
セイルはそんな過去など一切知らなかったので、あっけにとられていた。グローバーの口は止まらない・・・。
「そこで、我々は本部を奪回すべく、強行突破をした。その後、権力者は確保され、本部は無事奪還に成功し、我々の部隊は世界に名を知らしめたんだ。」
「へぇ〜〜・・・」
「そして、2ヶ月が過ぎたときだ。Rガンダムは部隊の象徴となった。その時だ。議会軍の馬鹿共が、Rガンダムを売って欲しい・・・と言ってきたんだ。もちろん我々は断ったさ。なんせ、やつ等のことだ、自分たちのために使うに決まっていたからな・・・。」
グローバーに昔の思い出が蘇る・・・。
「隊長・・・ガンダム・・・どうなるんですか・・・?」
「心配なのか?グローバー?」
そこには、若き日のグローバーと隊長がいた。

「大丈夫。ガンダムをあいつ等なんかに、渡しはしないさ。」
「はぁ・・・。」
グローバーは心配で仕方なく、普段より、小さくなっていた。議会軍の交渉人は毎日のように基地に訪れていた。議会軍の狙いはこうである。"ガンダムを議会軍のシンボルとし、市民の支持率を上げる"簡単に言えば、金儲けである。
カツカツ!!
扉の前まで、グライスが歩いてきた。
プシュュュ!!
議会軍の交渉人が、汗を拭きながら、グライスに近寄った。
「おぉ。グライス大尉。ガンダムを・・・」
「あんた達には渡さないと言った。俺たちが戦っていた時、あんた等は何をしていた!?情報によれば、シャトルの発進準備をしていたそうじゃないか?」
「・・・」
交渉人は黙ってしまった。しかし、さすがはプロ。すぐに言葉を返してくる。
「それは違います。あれは万が一のために・・・」
「戦闘に入ったって時に、自分達の命を一般市民より、優先した。我々、軍人は別に良いが、市民達の怒りは収まらんのだぞ!!」

結局は、交渉人は帰ってしまい、ガンダムは守った。
プシュュュ!!
「おかえり!!大尉♪♪」
「あ・・・あぁ。」
「大尉♪これ、ガンダムの攻撃力アップの換装パーツのマニュアル。」
彼女は、ガンダムの整備担当員、ミニン・トール。明るく、部隊のムードメーカー的存在である。

プシュュュ!!
「大尉。大尉宛に通信が届いていましたが・・・。」
「何!?グローバー!?通信の中は見ていないな!?」
グライスは何故か焦っていた。しかし、グローバーは何故焦っているのかは聞かなかった。
「は・・・はい。見てませんけど・・・。」
「そうか・・・。」

〜通信室〜
ピルルルルル!!ピッ!!
「そうか・・・時期が来たか・・・。」

〜ブリッジ〜
「あっ!!大尉!!パーツを換装しといたからね!!」
ミニンの声は、今のグライスにとっては、少しうるさかった。
「大尉。何かあったんですか?」
グローバーが深刻な顔をしていたグライスに問いかけた。
「いや・・・別に何も無い・・・。」
(どうしたんだろ?いつもの大尉らしくないけど・・・。)

3日後・・・・
ビービー!!
「所属不明機接近中!!パイロットは出撃準備せよ!!」

「所属不明機!?大尉!!」
「おそらく、議会軍本部を乗っ取ったやつ等の残党だろ。今回は私だけが出る。グローバー達は待機だ!!いいな!?」
「は・・・はい・・・。」

〜MSデッキ〜
「ミニン!!出るぞ!!」
「大尉1人だけなのぉ!?」
ドシュュュ!!

そして、戦闘が始まった。
敵の数は、およそ10数機、大尉1人ではどうにもならない。
「やっぱり出た方がいいよ!!」
「だめよ!!大尉が出るな!!って言ったんだから!!」
グローバーと艦長のノレムが対立した。
「隊長が危ないんですよ!!」
「自分たちが、本部の奪取の時、大尉の発言で助かったのよ!!今回も大尉には何か、考えがあってのことよ!!」
「くっ・・・。」

しばらく沈黙が続いた。
ピピピ!!
「ノレム艦長!!グライス大尉から通信です!!」
「回線開いて!!」
ピッ!!
「奴等が撤退した。自分はその後を追跡する!!お前たちは、サッズに向かえ!!」
「し・・・しかし、大尉は!!」
「自分は少しすれば戻る!!いいな!!」
「大・・・」
プツン!!
「通信切れました。」
「か・・・艦長・・・。」
「これより、サッズに向かいます!!」
(!!・・・大尉!!絶対!!戻ってきてくださいよ・・・。)

そして・・・現代。

グローバー思い出が終わり、グローバーはセイルの方向に向いた。
「・・・・そして、今になっても・・・大尉は戻って来ないのさ・・・。」
「その・・・グライス大尉が乗ってたMSが・・・Rガンダム。」
そして、しばらく沈黙が続いた。
「さて。わしはデッキに戻るぞ。艦長。」
「あっ・・・はい。」
グローバーはセイルに話していたために、シルニーの存在を忘れていたのだ。その場を出て行こうとしたシルニーは口を開いた。
「艦長。自分の息子も信じられんようじゃ、お終いだったの・・・。」
その言葉は、グローバーに動揺を生ませた。セイルはその言葉を受けた親の様子がおかしいのに気づいた。
「親父・・・?」
「艦長!!マックス少佐から入伝です!!敵部隊は排除。すぐに旗艦する、とのことです。」
セイルの質問を掻き消すかのように、ロムの声が聞こえた。グローバーは、セイルの親、グローバー・ギアから、ブレイジング部隊艦長、グローバー・ギア大佐に戻ってしまった。
「分かった。MSを回収後、すぐに・・・」
セイルは思った。
(これが・・・戦争なんだよな・・・。)
ビービー!!
突然、警報機が鳴った。ロムの声がブリッジ内に響く。
「南西ポイント2698より、新たな敵影キャッチ!!コードナンバー・・・判明しました!!」
ブレイジング部隊は、数ある地球の部隊から、情報を提供されているため、敵の情報はかなりある。
「GS−MS−003−GI 001!!レゾンです!!」
「レゾンだと!?」
この言葉に、ブリッジ内は凍りついた。
「親父!!俺・・・行ってくる!!」
「待て!!セイ・・・」
プシュュュ!!
セイルは、レゾンの脅威をまだ知らずにいた。
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