第六話 「運命の女性」


「ミ・・・ミニン・・・!!」
(ミニン?って、たしか・・・親父が言ってた・・・)

「再会・・・か。艦長?」
ガロン准将がグローバーに聞いた。
「ええ。再会・・・ね。グローバー君。いえグローバー大佐♪」
「・・・相変わらずだな・・・ミニン。」
何故か、グローバーの顔は笑ってはいなかった。セイルも久しぶりの再会に喜ばないグローバーに少し疑問を抱いた。
そんなことを考えている間に、グローバーはミニンと共に、Rガンダムの方に行ってしまった。

「どう言う事だ?ミニン?」
「あら。さっきは私がフォローしてあげたって言うのに感謝も無し?グローバー君?」
「おい。いい加減、君付けは辞めろと言ったはずだぞ。」
そして、2人はRガンダムを見上げた。しばらく沈黙が続いた。グローバーはミニンの方を見ると、ミニンはRを見て、何か考えている用にグローバーには見えた。

〜ガロン准将の部屋〜
「セイル・ギア少尉・・・ふむふむ。」
セイルはガロン准将のソファーに腰掛けていた。ガロンはセイルのプロフィールに目を当していた。
「1つ聞きたい。何故あのMSを発見したんだね?」
「はい・・・。」
そしてセイルは、発見当時の様子を細かくガロンに教えた。
「・・・そうか。なるほど・・・。」

〜MS格納庫〜
一方、ミニンとグローバーは雑談していた。ミニンはハーブティーを一口飲んだ後、口を開いた。
「あのMS。どう考えても大尉の乗ってたMSね。」
「そうか・・・。」
グローバーの顔を見て、ミニンは疑問を抱いた。
「ん?どうしたの?」
「お前は何も感じないのか?大尉がジング・シグマなんだぞ。」
ミニンはハーブティーを置いた。
「何も感じない訳ないじゃない。私だって、生放送見たとき衝撃を受けたからね・・・。」
そう言ってミニンは立ち上がった。
「どうした?」
「・・・・セイルと話してくる・・・。」
ミニンの顔は、暗かった。
「・・・安心しろ。セイルには何も言っていない。」
「そう。その方が話し易いわ。それじゃ、また後でね。」
ミニンは食堂を出て行った。

〜廊下〜
セイルはガロン准将との話が終わり、部屋を出た後だった。
「ん?あれはミニン・・・さん。」
「あっ。こんな所に居たのね。随分探したわよ。」
「は・・・はぁ。」

〜ミニンの部屋〜
「ゴメンねぇ。汚くって。」
「いえ・・・。」
「はい。これ。」
ミニンはコーヒーを出した。
「どう?あのMSを操縦してみて。」
「どう・・・て言われても・・・。」
「何か無いの?コックピットが古くて扱いづらいとか、なんとな〜く、操縦が重いとか、・・・」
ミニンの話は永遠と続く。セイルはふと、思うのであった。
(なんだろう・・・何か、何故か・・・暖かい・・・この人。)
「ねぇ。ちょっと聞いてるの?セイル君?」
「あの・・・ミニンさんって、独身・・・なんですか?」
ミニンの顔が赤くなる。
「ええ、独身よ。昔、結婚してたんだけどね・・・。バツイチなんだ。」
♪♪♪♪♪
アナウンス前の音楽が鳴った。
「ブレイジング隊所属の者に告ぐ。補給が終了しました。ただちにバラスートのブリフィングルームに集合してください。」
「あら。集合ですって。少ない時間だったけど、話せて良かったわ。」
「ぼ・・・僕もです・・・。」
プシュュュ。
そして、セイルはミニンの部屋を出て行った。
(・・・大きくなったわね・・・セイル。)
ミニンは涙を浮かべていた。

〜ブリフィングルーム〜
「今回の補給で、新たに隊に加わった兵がいる。メイス曹長!!」
「はい!!」
セイルにはその声に聞き覚えがあった。
(メイス・・・!?まさか!!)
「メイス・キルリ。階級は曹長です。これか・・・」
「やっばり!!メイス!!」
「!!セイル・・・先輩!!」
この出来事に、クルー全員は疑問を抱いたのであった・・・。

〜セイルの部屋〜
プシュュュ
ドアが開いて、セイルとメイスが入ってきた。
「へぇ〜。ここが先輩の部屋かぁ〜。」
セイルは荷物をソファーの隣に置く。
「ここは軍艦だぞ。先輩は辞めてくれ。」
「はっ!!セイル・ギア少尉殿!!」
メイスは敬礼をしながらにこにこ笑っていた。
「・・・・・・」
セイルは言葉を失った。
「先輩・・・じゃなかった、少尉はRガンダム、って言うMSのパイロットなんですよね?」
「そうだけど。」
セイルは食事の用意をしている。
「私が前に居た部隊ですごい有名になちゃってましたよ♪」
「ふぅ〜ん。」
「・・・・・」
セイルは坦々と料理をしている。メイスは反応の薄いセイルに対し笑って言うも、時々暗い顔をしている。
セイルがメイスをちらっ、と見る。
「・・・どうした?」
「えっ!?ちょっと考え事・・・。何?」
「なんで・・・いや、お前がそんな暗い顔してんの初めて見たからよ・・・。お前でも考え事するんだな。」
セイルはソファーに座り飲物を机に置き、メイスと向き合った。
「失礼ねぇ!!私だって・・・考え事ぐらい・・・。」
どんどんとメイスの顔が暗くなってくる。セイルは飲んでいた飲物を机に置く。
「おい・・・メイ・・・」
「ずっと・・・ずっと会いたかった・・・。」
「えっ!?」

〜ブリッジ〜
「エンジン温度良好、浮上開始、発進いつでも行けます。」
「よし!!バラスート発進!!向かうは、”ニュウ・ロス”。ガロン准将、それでは。」
「頼むぞ。」
こうして、ブレイジング隊はサッズを後にした。
一方、セイル達は重い空気の中、聞こえてくるのはメイスの小さい泣き声しか聞こえない。
「ごめん・・・あの時から・・・ずっと会いたかったんだよ、セイル先輩・・・。」
「あの時・・・・・」
セイルに昔の思い出が蘇る。

軍事学校で出会ったセイルとメイス。サークル活動でたまたま一緒の仕事をする事になった先輩と後輩。
「メイス、実はさ・・・」
「何ですか?先輩。」
「俺、卒業したら極秘の部隊に転属しなくちゃならなくなったんだ・・・。」
メイスの顔が一気に青ざめた。本来ならば、軍事学校を卒業した者は、第2軍事学校に入学することが義務づけられていた。しかし、セイルは連邦軍上層部の特令ということなので第2軍事学校には入学しないのだ。
「そ・・・そんな・・・。」
「後で連絡とかするからよ・・・。」

未だメイスは泣いていた。よっぽどセイルに会えたのが嬉しかったのだろう。
「あの後、連絡してなかったな・・・・。」
メイスは涙を拭きながら、応えようとするが涙が止まらず何も言えない。
「あの後、部隊に配属されて、シグマの攻撃が強くなってさ・・・連絡できなかったんだ・・・。わるかった・・・・。」
「うぅん・・・。いいよ・・・別にぃ・・・。」
メイスは気が緩むと余計に涙が出てくると思い、泣き終わるまでセイルの部屋に居るつもりのようだ。
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