第十一話 「くり返しの意味」


「メガ粒子砲、発射準備整いました!!ターゲット、ロックオン!!エネルギーチャージ、100%!!」
ロムが叫んだ。
「メガ粒子砲!!発射!!」
グローバーが合図と共に、叫んだ。
そして、大きな衝撃と共にメガ粒子砲が発射された。その巨大な砲身から繰り出さされた、メガ粒子砲は中心基地全体を焼き払った。

〜サッズ〜
ブレイジング隊は、アジア地区での激戦のため大幅な補給を受けていた。
「これがR2ねぇ〜。」
ミニンが眼鏡を光らせた。隣には、グローバーが居る。
「・・・・・」
ミニンが急に黙り込んだ。
「どうした?」
「・・・大尉の・・・・いえ、ジング・シグマの"くり返し"の意味が分った気がするの・・・。」
「!!ジングの・・・”くり返し”の意味が・・・だと?」
「えぇ・・・このR2が物語ってるわ。」

〜セイルの部屋〜
「んっ!!・・・・うぅ・・・。モロキ?」
「おっ!!気がついたか?」
「俺・・・どうしたんだ?」
セイルが上体を上げ、額の水と汗でスブ濡れのタオルを取った。
「コックピットの中で、かなりの熱を出してたセイルはドクターの診断により、ここに運ばれ、俺が付きっきりで看病してたのさ。」
モロキがタオルを水で洗っている。
「ここは?ヘルビナートは落ちたのか?」
「あぁ、ヘルビナートは落ちたよ。敵の残党兵は宇宙に脱出したみたいだぜ。ついでに言うと、ここはサッズさ。」
セイルが起き上がった。既に熱は引いていた。
「サッズ・・・・そうなのか・・・。」

〜食堂〜
サッズの基地内部には食堂がある。ミニンとグローバーがコーヒーを口にしている。
「・・・その”くり返し”の意味・・・聞かせてもらおうか?」
先にグローバーが口を開いた。
「・・・意味はね・・・議会軍の思惑の事よ。」
「議会軍の・・・思惑・・・だと?」
ミニンがカップを置いた。
「何故、議会軍がRの後継機、R2を開発したんだと思う?」
グローバーもカップを置く。
「・・・なるほど・・・そう言う事か。」
「そう、"くり返し"とは、議会軍最重要機密の・・・・Rプロジェクトの事よ・・・。」

〜MS格納庫〜
「セイル少尉!!」
格納庫を歩いていた、セイルを呼び止める者が居た。ハーニアだった。
「これが、ヘルビナートでのR2の戦闘データです。」
ハーニアがセイルにデータ書類を渡す。
「少し、無駄弾が多すぎます。被弾率の事も考えて、操縦しないと装甲がもちませんよ。」
「・・・はい、はい。分ったよ。」
「ちょ・・・ちょっと、少尉!!もぅ〜・・・。」
セイルは、また何処かに行ってしまった。ハーニアに駆け寄る人物が居た。
「ハーニアさん、ここの回路、どうします?」
アレンだった。少し、ハーニアは苛立っていた。
「この回路は、このデータを使ってください!!!!」
「・・・・相変わらず、気が強いですね・・・。」

〜メイスの部屋〜
コン!コン!
ドアのノック音が聞こえた。
「どうぞ〜・・・。」
プシュュュ!!ドアが開いた。
「よ!!」
「セ・・・セイル!?もう、大丈夫なの?」
入ってきたのはセイルだった。
「ああ、もう大丈夫さ。しかし、良く生き延びたな。」
セイルが冗談交じりで言った。
「バラスートの護衛で就いてたから・・・。そう言えば、MAを落としたんだってね。すごいよね・・・セイル。」
「・・・メイス・・・人工知能・・・AIをどう思う?」
「えっ!?」

「Rプロジェクトの事はあなたも、知ってるわよね?」
「もちろん。」
以前、グローバーとミニンは食堂に居た。周りには誰も居ない。
「私は、ジング・シグマの考えを、こう読んでいるの。」
グローバーがコーヒーを一口飲む。
「ほぅ、聞かせてもらおうか。」
ミニンもコーヒーを一口飲む。
「・・・まず、”R”とは何か?私は考えたわ。そもそも、あの頃、20年前は”R”とは呼ばれていなかった。只、普通にガンダムとしか呼ばれていなかった。そして、私が考えた結果、”R”の意味は・・・。”RETURN”。」
「RETURN!?だと!?」
グローバーがコーヒーカップを飲み終わったので机に置く。ミニンは既に飲み干していたようだ。
「普通の意味なら、戻る・帰る、だけど、ジングは違う捉え方をしたのよ。・・・”再生”という意味でね。」
グローバーが息を呑んだ。
「”再生”・・・。そうか!!それだと、”くり返し”の意味と繋がる!!」
「ジングは、ガンダムに”R”と名づける事で、私たちに知らせていたのかもしれないわ・・・。意味をね。」
「!!そうか・・・だからあの時・・・。」

ジングが初めて、ブレイジング隊に攻撃を仕掛けてきた時の事である。
「グローバー、まだ議会軍に居たのか?」

・・・・・・・・
(あの発言は・・・。この事を物語っていたのか・・・。)

「でも、まだ謎があるの。」
ミニンが眼鏡を眼鏡拭きで拭きながら言った。
「・・・」
グローバーは黙った。

「大破したRガンダムの生きていたOSを見させてもらったわ。・・・可笑しい事に、OSの最終更新日が20年前の9月5日、つまり、ジングが私たちの元を去った、次の日なのよ。」
「何!?セイルは書き換えてなかったのか!?」

何だか外が騒がしい。サッズの補給担当員達だ。。おそらく、食堂のランチ目当てだろう。
「ここじゃ、聞かれるわね。私の部屋に行きましょう。」
「そうだな。」

〜メイスの部屋〜
「AI・・・人工知能はこの世にあって良い物なのかな?」
「どうしたの?・・・セイル?」
沈黙が続く。メイスも行き成りの訳の分からない質問をされて困っていた。セイルが口を開いた。
「・・・ゴメン、こんな事聞いて悪かった。気にすんなよな。じゃ!」
そう言って、セイルはメイスの部屋を出て行った。まるで、重い沈黙に耐え切れなかったかのように、そそくさと出て行った。
(あんな事、メイスには関係ないのに・・・・。俺は何を聞いてんだ?)

〜ミニンの部屋〜
「シルニーさんが言うには、セイルはOSの書き換えはしてなかったみたいなの。」
「では、セイルは・・・!!ジングのOSで戦ってたのか!?」
ミニンが頷く。
「セイルは・・・私たちの予想以上にニュータイプとしての覚醒を始めているわ。あのMSの反応は通常の倍の能力が必要なのは知ってると思うけど、セイルはそれに反応している・・・。」
グローバーが口を開く。
「そうだな・・・。おっと!すまない、会議の時間だ。」
グローバーが席を立った。そして、襟を立てミニンのドアが開き、出ようとした時だ。
「ちょっと!待って、これ。」
ミニンが差し出したのは、ペンダントだった。しかも2つ。
「これは・・・!?」
「1つは、貴方の分。もう1つは・・・セイルの分。今度、宇宙に出るんでしょ?無事に帰ってくる事を信じて・・・。」
ミニンの瞳は涙のせいで潤んでいた。
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